競合から補完へ、変わる鉄道と高速バスの関係 特急や新幹線とバスの連携も各地で登場

東洋経済オンライン / 2019年8月27日 7時20分

東京駅八重洲口を出発するJR高速バス(写真:aki/PIXTA)

全国の細かなところまで充実した高速バスネットワーク。鉄道網が不便なところにも小まめに路線が設定され、都市と地方、地域と地域を結んでいる。

高速バスと鉄道、とくに在来線は「競合」という面で語られることが多い。実際に、新幹線の開業による交通体系の変化や、在来線特急より本数・所要時間で勝る高速バスの発達で、主役がバスに移行した区間もある。だが、一方で鉄道を中心とした公共交通網を高速バスが補完するという関係も生まれている。

■新幹線開業でバスが主役に

名古屋から富山まで、東海北陸自動車道を経由する高速バスがある。名鉄バスと富山地方鉄道が共同運行するこのバスは、およそ1時間おきに運行され、片道4800円という低価格である。乗車時間は約3時間40分だ。

かつて名古屋―富山間の移動といえば、主力は米原経由の特急「しらさぎ」だった。高山経由の特急「ひだ」もあるものの、高山本線は曲線の多い単線路線で高速運転は難しく、さらに「しらさぎ」よりも本数が少なかった。

この区間は以前から高速バスの利用者は多かったが、その状況をさらに加速させたのが2015年3月の北陸新幹線開業である。この際に「しらさぎ」は名古屋―金沢間の運行となり、富山まで行くには乗り換えが必要になった。乗継割引はあるものの、片道の運賃・料金は通常期の指定席利用で9210円(しらさぎ+北陸新幹線)とバスの倍近く、所要時間は3時間程度かかる。

乗り換えの手間や運賃の高さが敬遠され、新幹線プラス特急と比べても所要時間がそれほど変わらない高速バスが選ばれている。実際に名鉄バスに問い合わせてみると、「利用者は増えている。『しらさぎ』が金沢止まりになったからでは」という返答があった。

新幹線の開業が思わぬところに影響を及ぼし、公共交通での人の流れが変わっていく。

国土交通省は、国内の幹線交通機関における旅客流動の実態を調べる「全国幹線旅客純流動調査」を5年ごとに行っている。都道府県を越える、通勤・通学ではない人の流れを調べたもので、交通機関別の分担率などがわかる。

この中には交通機関として「幹線バス」が含まれており、高速バスなどを利用した移動の実態を知ることができるが、鉄道が不便なエリアではバスが中心的な交通機関となっているケースが少なくないことがわかる。

2015年度の「生活圏間流動表」で「出発地から目的地」のデータを見ると、長野県の飯田エリアから東京23区への移動のうち、鉄道を利用した移動が年間2万6000人、バスを利用した移動が7万9000人で、バスが鉄道を大幅に上回っている。ちなみに、乗用車などを利用した移動は5万3000人だ。

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