病院からゴディバまで、投資ファンドの最前線 プライベート・エクイティの投資額が急増

東洋経済オンライン / 2019年8月29日 7時10分

投資ファンドが医療法人へ投資する案件が登場した。写真は埼玉県の熊谷外科病院(記者撮影)

この7月末、ある老舗の投資ファンドが埼玉県の病院への投資を決めた。このファンドは、中堅プライベート・エクイティ(PE)のユニゾン・キャピタル(以下、ユニゾン)。埼玉県熊谷市で熊谷外科病院を経営する医療法人に対し、約20億円を融資する。

PEは大企業のカーブアウト(事業部門の切り出し)や事業承継などをテーマに、民間企業に投資することが通例だった。しかし、今回はPEとして初めて、病院に投資する。

■今後も病院投資を拡大

ユニゾンの河野鉄平パートナーは、「これまでジェネリックや長期収載品、調剤薬局などに投資するなど、われわれはヘルスケア部門を得意としてきた。今回は不動産投資という位置づけではなく、医療機関のオペレーター(運営者)としていかにバリューアップするかだ」と意義づける。

同病院は1935年の開設で、ベッド数154床。中堅の2次救急指定病院だ。埼玉県に提出された2018年3月期の財務諸表によると、総資産は約19億円で2840万円の繰越損失がある。株式会社と異なり、医療法人への出資はできないが、ユニゾンは今回、法人の意思決定機関である社員総会の過半数の議決を行使できる形で資金を提供するという。

ユニゾンの狙いは、こうした病院投資を今後20~30まで増やし、病院周りの食事やリネンサービスを手がけるメディカルサービス会社を設立し、病院からの外注を受託していくことだ。救急中心の同病院の経営をリハビリ中心に変えていく。

「薬価の改定スピードが速くなっており、中堅製薬会社は規模を大きくしていかないとこれからは生きていけない。買収したあゆみを再編の軸にできるかもしれない」

アメリカのPE最大手、ブラックストーンの坂本篤彦・シニアマネージングディレクターはそう語る。

同社は今年4月、日本における第1号案件として、ジェネリック医薬品中堅のあゆみ製薬をユニゾンから買収した。負債を含めた金額は1000億円超とみられ、今後、あゆみを軸にした中堅製薬会社の再編を狙っている。

■日本含むアジア向けファンドに5000億円

坂本氏はゴールドマン・サックス証券やベインキャピタルなどを経て、2018年からブラックストーン入りしている。一足早く日本市場に参入したコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)やカーライルなど、アメリカ系の大手PEと比べて、ブラックストーンは一歩出遅れた。

ニューヨーク証券取引所に上場するブラックストーンの時価総額は約6兆円と巨額だ。PEと不動産投資の2つの大きな柱を持つことを強みにしている。日本に特化したファンドは現在存在しないが、日本を含むアジア向けファンドとして5000億円規模の投資ファンドを用意している。

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