スラムダンクの「聖地」に中国人が殺到する理由 訪日観光客、「究極のコト消費」が主流に

東洋経済オンライン / 2019年9月2日 7時0分

外国人観光客は今、日本で何を求めているのだろうか(デザイン:新藤 真実)

アニメ『スラムダンク』に登場する江ノ島電鉄・鎌倉高校前の踏切。ここがいま外国人観光客の観光スポットになっている。特に殺到しているのは中華圏の旅行客だ。

支持を集める理由は、車窓から見える湘南海岸の景色や、路面電車のようなレトロな雰囲気。江ノ島電鉄の1日当たり利用者数は2012年の1万6500人から2017年には1万9205人へと、5年間で16%も増加した。

『週刊東洋経済』9月2日発売号は「爆熱!観光立国 訪日客は何を買う? どこへ行く?」を特集。ますます進化するインバウンドビジネスにおいて、日本企業や地方自治体は多様化する外国人観光客の需要とどう向き合っているのかの最前線を追った。

■「爆買い」「弾丸ツアー」はどこへ

日本における外国人観光客の行動は、以前とでは大きく変化している。

「転売ヤー」と呼ばれる中国人の転売業者が、家電や化粧品を漁った「爆買い」ブーム。そして、東京や京都、大阪などの「ゴールデンルート」を団体バスで短期間のうちに移動する「弾丸ツアー」。こういった乱暴で慌ただしい行動は、もはや過去のものだ。

最近の中国人観光客はスマートフォンで情報を集め、自分たちの行きたいところにタクシーで移動し、モノを買うだけでなく体験型消費を楽しむ。訪れる地域もさまざまで、東京や大阪などの大都市圏にとどまらず、今や富山や鳥取、青森など地方にも足を運ぶ。冒頭のように、日本の漫画やアニメに親しみを持つ中国人の若い層は、それらのゆかりの地である「聖地」も頻繁に訪れる。

そういった地方の観光地には、中国語や韓国語など外国語の看板がずらりと並ぶ。「日本人以上に、日本の事情に詳しい人が増えている。そういった個別の事情に応じて、需要は細分化している」と、中国人の消費行動に詳しい三菱総合研究所の劉瀟瀟(りゅう・しょうしょう)氏は語る。

日本に来る外国人観光客は、ここ数年右肩上がりで増えている。2018年は3119万人で、日本政府観光局(JNTO)が統計を取り始めた1964年以降、過去最高の数字になった。その中で最も多いのが、全体の27%を占める中国人観光客だ。

2018年に日本を訪れた中国人観光客数は、前年比13.9%増の838万人。同5.6%増ながら753万人だった韓国人観光客数よりも増え方が目立つ。

この背景には、政府によるビザの発給条件緩和がある。加えて、中国の地方都市から日本へのLCC(格安航空会社)などの空港便が増えていることも大きい。「最も路線が多いのは上海からの便。今後四川や重慶など路線が増えれば、人口規模の多い内陸部からの訪日も期待できる」(JNTO海外プロモーション部の松田景子氏)。

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