「N国党」新宿区議員の当選が取り消された理屈 地方議員に3カ月の居住実態が必要となる意味

東洋経済オンライン / 2019年9月6日 7時50分

「NHKから国民を守る党」所属の地方議員が当選無効となった(写真:egadolfo/iStock)

9月2日、東京都新宿区選挙管理委員会は、4月21日投開票の東京都新宿区議選に当選した松田美樹氏(NHKから国民を守る党所属)について、公選法が定める区内での居住実態が認められないとして、当選無効を決定した。7月の参院選により、同党が初めて国会に議席を獲得したことで注目が集まっていることもあり、このニュースも大きく取り上げられている。

しかし、住所要件をめぐる当選無効の事案は、実はそう珍しいものでもない。例えば、平成27(2015)年4月26日投開票の大阪府寝屋川市議会議員選挙において、大阪維新の会所属の森忠久氏が当選したが、その後市選挙管理委員会は「3カ月以上寝屋川市内に住所を有しておらず、本件選挙における被選挙権を有していなかった」として当選無効の決定を下した。

決定に対して異議申し立てがなされ、最終的には大阪高裁において司法の判断を仰ぐまでに至っている。そのほかにも、平成7(1995)年4月23日投開票の東京都東村山市議会議員選挙でも、同様に住所要件を理由として当選の効力が争われ、最高裁の判断を仰いだ。

さらに、今回問題となったNHKから国民を守る党、通称「N国党」所属の議員としては、今年5月26日投開票の東京都足立区議選において、加陽麻里布氏が、住所要件を満たさず得票が無効となる決定を下されている。

■国会議員や地方自治体の首長には非要件

公職選挙法10条1項5号では、「その選挙権を有する者で年齢満25年以上のもの」が市区町村の議会の議員について被選挙権を有すると定めており、さらに同法9条2項で、「日本国民たる年齢満18年以上の者で引き続き3箇月以上市町村の区域内に住所を有する者」が地方公共団体の議会の議員および長の選挙権を有すると規定している。

つまり、3カ月以上当該市区町村に居住しないと選挙権を得ることができず、当該市区町村議会選挙の選挙権を有しないと地方議員になることができないということだ。同様の住所要件は、国会議員や地方自治体の首長の被選挙権では要件となっていないので、あくまで市区町村議と都道府県議という地方議員に特有の要件となっている。

そうなると、「住所」というものをどう捉えるかが問題となる。この点について、転出をめぐる被選挙権を争った平成9(1997)年8月25日最高裁判決は「生活の本拠、すなわち、その者の生活に最も関係の深い一般的生活、全生活の中心を指すものであり、一定の場所がある者の住所であるか否かは、客観的に生活の本拠たる実体を具備しているか否かにより決すべきものと解するのが相当である」と判示している。

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