中国FCV市場で日本企業が勝ち残る「3つの条件」 2019年は中国のFCV元年、トヨタも提携拡大

東洋経済オンライン / 2019年9月7日 8時10分

中国国有自動車大手の中国第一汽車は今年8月26日、高級セダン「紅旗H5」向けの燃料電池モジュール第1号をラインオフした(筆者撮影)

中国政府は今年6月26日から、電気自動車(EV)の補助金に関し今年の支給基準を前年比最大60%削減し、国の補助金基準と平仄(ひょうそく)を合わせ実施してきた地方政府の補助金制度も廃止した。

一方、燃料電池車(FCV)が依然優遇されると同時に、地方政府にはFCV関連インフラの整備も求められる。EVシフトの次にはFCVブームの到来が予感され、2019年8月末現在、中国の22都市で打ち出された各都市独自のFCV優遇政策の功もあり、地場企業が相次いでFCVの開発に参入した。今年はまさに中国の“FCV元年”といっても過言ではない。

中国の中長期の産業育成策にともなうFCV市場の形成や、技術・部材の需要も日系企業には追い風になると考えられる。トヨタ自動車は中国メーカーにFCV部品を供給すると発表し、中国においてFCV事業を本格的に立ち上げる姿勢を示した。

■2030年にFCVを100万台規模で普及

しかし、地方政府が主導するインフラ整備、地場企業との協業、外資企業との競争、などを考慮したとき、FCV分野で圧倒的強さを誇る日系企業にとっては甘くない現実だと思われる。

中国政府は、大気汚染が深刻化するなか、原油の過度な輸入依存もあり、2012年からEV市場の育成に力を入れている。一方、水素を水の電気分解で作るFCVがやはり究極のエコカーであると、実は中国自動車業界でも広く認識されている。

中国政府が発表した「省エネ・NEV技術ロードマップ」(2016年)では、2025年までにFCVの普及規模を5 万台へ、水素ステーションを300カ所まで増やし、2030年にはそれぞれ100万台規模、1000カ所以上に拡大、整備することを目標として掲げる。

エンジン車並みの航続距離を有し、水素燃料の充填時間も短いFCVは、長距離走行性能の向上を課題とするEV商用車を補完できる駆動システムとして期待されている。走行ルートが決まったFCV商用車が一定台数で運営されれば、水素ステーションの採算も取れる見込みだ。中国ではFCVが2016年からバスや物流車(トラック)など商用車分野に導入され始めた。

しかし、関連政策や規制が不透明である中、水素ステーションの整備・運営コスト高は、FCV普及の現時点でのネックである。2018年末時点、中国には、FCVの保有台数が2749台、水素ステーションが25カ所にとどまり、FCV 販売台数は年間1527 台(2018年)に過ぎない。このままいくと、中国政府が掲げたFCVの普及目標には達成し難しい。

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