日本人が知らない「トランプ大統領」の頭の中 大事なのはアメリカよりも「自分の損得」

東洋経済オンライン / 2019年9月10日 8時20分

「トランプファミリー・ファースト」で、アメリカ国民が被っている被害とは?(写真:picture alliance/getty)

「アメリカ・ファースト」を主張するトランプ大統領だが、気に入らないメディアや記者に対して「フェイクニュース」と罵倒したり、側近をイエスマンで固めるなど、自身の利益を優先する振る舞いが多く見られる。彼の行動原理とはいったい? 『大前研一 世界の潮流2019~20』から「トランプ大統領の本質」についてお届けする。

ドナルド・トランプ大統領は「アメリカ・ファースト」を主張して大統領選に勝利したが、就任後の彼の動きをみると、その実体は「ミー・ファースト」あるいは「トランプファミリー・ファースト」だということが明白だ。

外交に関しては、「自分のおかげで相手国が譲歩し、アメリカ国民はこれだけ得をした」と、自国民に対し非常に身勝手なストーリーで成果をアピールしている。大統領である自分の都合が最優先で、理念はいっさい感じられない。

■すべてがディールという発想

トランプ大統領はイスラエル建国70周年に合わせて、2018年5月にイスラエルのアメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移転し、パレスチナの人々を激怒させた。豊富な資金力と集票力で、大統領選のときからトランプを応援してきたユダヤ系アメリカ人のカジノ王シェルドン・アデルソン氏たちのロビー活動の成果である。中東の和平よりも自分の支持者の意向が、トランプ大統領にとっては大事なのだ。まさにミー・ファーストにほかならない。

2018年10月、トルコのイスタンブールにあるサウジアラビア総領事館で、サウジアラビア人記者のジャマル・カショギ氏が殺害された。

この事件でもトランプ大統領は、アメリカ中央情報局(CIA)が、サウジ政府の実質的な最高権力者であるムハンマド皇太子が殺害を指示したという見解を発表したのに、「皇太子がやったかそうでないか、誰も真相はわからない」と明言を避け、暗に皇太子を擁護する姿勢を示した。サウジはアメリカからたくさん武器を買ってくれるし、原油を十分産出して原油価格の維持に貢献してくれている。それに、トランプファミリー、とくに娘婿のジャレッド・クシュナー氏と個人的にも関係が深いということもあって、真相究明に消極的なのだ。

アメリカは自由と平等、そして民主主義の国であり、世界中にこれらの理念を広める役割を務めてきた。そして、他国の非民主的、非人道的な行動にも決して目をつぶることはなかったはずだ。それが、トランプ大統領は、そのような建国以来の理念よりも、自分の損得を堂々と優先するのだから開いた口がふさがらない。

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