「韓国ウォン安」が新たな貿易戦争を生む「懸念」 ベトナム経由での対米輸出増加が火ダネに?

東洋経済オンライン / 2019年9月10日 8時0分

韓国はウォン安で米トランプ大統領の虎の尾を踏む可能性も?(写真:nunawwoofy / PIXTA(ピクスタ)

日本では2019年4月25日に1ドル=112円40銭をつけた後、円高方向に進んでいる一方、韓国では対円、対米ドル相場でウォン安が進んでいます。一時約2年8カ月ぶりの1ドル=1200ウォン台をつけました。

円とウォンで見ても、現在は100円=1100ウォン前後と、100円=1000ウォン台から明らかにウォン安が進んでいます。韓国を訪れる日本の旅行者にとってはウォン安のメリットは受けられそうですが、金融市場にとってはむしろ、大きなデメリットとなってしまう可能性があります。

なぜ、一段の韓国ウォン安が世界経済の不安定度を高めてしまう可能性があるのでしょうか?今回は、ウォン安になった時に市場でよく言われる韓国の短期の対外債務や外貨準備高による信用不安云々の話ではなく、貿易分野での対外政策の視点から見ていきたいと思います。

■世界各地での「異常事態」が「常態化」?

8月から9月に入り、世界では異常とも言える事態が頻発しています。香港では「逃亡犯条例改正案」をきっかけとするデモが過激化し、8月31日には、当局が集会とデモ行進の両方を認めない中で、路上で火を放ったり、政府庁舎に火炎瓶を投げつけるなどのデモ行進が発生する異常事態となりました。

一部の香港の中高・大学生は9月2日から授業のボイコットを始めるなどデモ収束の出口が見えず、先行き不透明感も強まっていました。こうした混乱が続く中、香港政府は4日にようやく逃亡犯条例改正案の撤回を認めましたが、依然として混乱が尾を引きそうです。

南米のアルゼンチンでは、大統領の予備選挙で予想を上回る得票率差によるマウリシオ・マクリ大統領の敗北を受け、8月12日には、株価、債券、通貨ペソがそろって暴落する「トリプル安」が発生しました。アルゼンチンを代表する株価指数であるメルバル指数は、8月9日の高値から9月3日の安値まで約48%も急落するなど異常事態となりました。

これだけではありません。アメリカでも8月14日、10年物国債の利回りが2年物国債利回りを約12年ぶりに下回る長短金利の逆転(逆イールド)が生じ、先行きの「景気後退(リセッション)」を想起させたことで、NYダウ工業株30種は800ドル以上、急落しました。また、9月1日、トランプ政権は約1100億ドル(約12兆円)相当の中国製品への追加関税を発動する一方、中国もただちに報復関税を発動し、さらに2日にはWTOに提訴するなど、米中貿易戦争が一段とエスカレートしてきました。

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