「薬酒バー」を三軒茶屋に開店した男の執念 妻の病気を治すため「中医学」にたどり着いた

東洋経済オンライン / 2019年9月13日 18時0分

三軒茶屋にある薬酒Bar「TradGras Cafe×薬酒」では、約100種類の薬酒メニューを提供している(筆者撮影)

三軒茶屋、猫の通り道のような細い路地が入り組む怪しげな一角に、ひっそりとたたずむバーがある。知らなければ見落としてしまうような店のドアを開けると、やっと5人ほどが並べるぐらいのカウンターを備えた店内となっている。

その店の売りは、美容・健康効果をねらった薬酒。

現在、都内を中心に千葉、名古屋、大阪、沖縄など27店舗を展開する「薬酒Bar」が2006年にオープンした第1号店だ。

■自分に合う「薬酒」をバーで楽しむ

薬酒Barでは、身近な野菜やハーブから、漢方薬局が扱うような珍しい薬草・動物性素材など、さまざまな薬効のある材料からつくる「薬酒」を楽しむことができる。

客にとっての大きなメリットは、薬酒の知識をもったバーテンに、人間関係や仕事、健康など、気にかかっていることをあれこれ話しながら、自分に合う薬酒をすすめてもらえることだ。

薬酒Barを展開するのは、HAREMUNEの社長・桑江夢孝氏。奥様の病気を治療したいと、中国、東南アジア、中南米をめぐった時期がある。世界のさまざまな生薬についての知識を身に付けるとともに、最終的に中医学を基本とする健康法にたどり着いたそうだ。

中医学の考え方では、体質や症状・季節によって、食物との相性が異なる。日々の食事で相性のよいものをとっていくことで体調を整え、病気を防ぐという。

桑江氏は中医学の教えにのっとり、妻とともに食事や生活習慣を整え、体を冷やさないよう心がけた。また、妻にはラズベリーリーフ、ネトルといった妊活によいという成分を始め、体質や季節に合う素材を配合した手作りの薬酒を飲ませていたという。

「脳内にできた腫瘍のため、医師には子どもは諦めるよう言われていました。しかし薬酒などの食事療法を始めて5年目に、子どもを授かりました。この薬酒の効能を広く知ってもらいたい。その思いが、薬酒Barを開業した大きな理由です」(桑江氏)

このとき、医師に止められつつも無事出産しただけでなく、その後も2人目を妊娠・出産。中医学にのっとった食事や生活を家族で続けているそうだ。

なお、こうした奥様の治療に関わるストーリーを含め、半生をつづった『僕の人生を変えた薬酒の話』という書籍が発刊されている。こちらでは、83種の薬酒のレシピも掲載されており、参照することで「二日酔い」「風邪予防」など、体の状態にあった薬酒を自分で作ることができる。

それにしても、薬酒といえば真っ先に思い浮かぶのが「養命酒」。「毎日朝晩に1杯ずつ」というイメージがあり、大人空間のバーとはそぐわない。それでも、桑江氏はバーという形態にこだわった。

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