そごう・西武の奇策「再雇用者リストラ」のわけ 希望退職実施が「百貨店再編」の引き金に

東洋経済オンライン / 2019年9月13日 7時0分

セブン&アイ・ホールディングス傘下の「そごう・西武」がリストラに乗り出している(撮影:尾形文繁)

セブン&アイ・ホールディングス傘下の百貨店事業会社である「そごう・西武」が、リストラに乗り出していることが明らかになった。

同社は今年7月の一定期間に、「ライセンス社員」と呼ぶ60歳から65歳までの再雇用者を対象にした希望退職を募り、8月31日付で実施した。再雇用時の月収をベースに、65歳まで働いた場合の「みなし」分を割り増しして退職者に支払った。そごう・西武では早期退職制度をすでに設けていたが、今回のような再雇用者を対象に希望退職を募ったのは初めてだ。「今後、再雇用をしないということではない。常設の制度ではなく、今回限りの措置」(広報担当者)という。

■再雇用者のリストラは「聞いたことがない」

数多くの商品を扱う百貨店では、ベテランの知識・経験を生かすために再雇用制度を設けている企業が多い。ある大手百貨店の場合は、「60歳で定年退職を迎えた人のうち、おそらく7割ぐらいは再雇用を希望する」(大手百貨店の中堅社員)という。

再雇用後は退職前に従事していた仕事に就くケースが多い。例えば、店舗の紳士服売り場ならば、そのまま紳士服売り場に、事務職ならば事務系の仕事を続けることが一般的だ。中には、外商のセールスマンがコンシェルジュのような店頭の接客専門員として配属されるケースもある。

今回のそごう・西武は、応募した社員の具体的な数など詳細について公表していない。再雇用者が対象のため、店長やフロアマネジャーのような幹部クラスが辞めていったわけではない。ただ、8月31日までに定年退職となる60歳を迎える社員も例外的に対象としたため、退職者の一部には59歳の部長など幹部社員も含まれていたようだ。百貨店の要職であるバイヤー(商品仕入れ担当)に従事していた社員もいた。

こういった再雇用した社員を、わざわざ手厚い手当を支払ってリストラするのは珍しい。前出とは別の大手百貨店中堅は「聞いたことがない」と驚きの声を上げる。

今回の希望退職実施について、会社側は「組織全体の若返りを図ることが狙い。また、社会が高齢化していく中で、60歳を超える社員の転職支援という意味もある。ワークライフバランスを見直すきっかけになれば」(広報担当者)と説明する。

しかし、この説明は鵜呑みにできない。継続雇用年数の引き上げなどにより高齢者の活用を図る企業が増えている中で、今回の動きは逆行している。今回の希望退職は「余剰人員の整理」と理解するほうが自然だ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング