スズキ「アルト」がパキスタンでバカ売れの理由 日本で人気の「ガラ軽」は世界で通用するのか

東洋経済オンライン / 2019年9月15日 7時0分

6月にパキスタンで販売を開始したスズキの新型「アルト」(写真:スズキ)

スズキの新型「アルト」が好調だ。6月15日に発売して、7月の販売台数は約4600台。これは乗用車市場全体の約4割に当たる――。もちろん日本でのことではない。遠く離れたパキスタンでのことだ。

■ガラケーならぬ「ガラ軽」

日本が誇る小型車「軽」。エンジンの排気量660㏄以下、車体の長さ3.4メートル以下、幅1.48メートル以下、高さ2.0メートル以下という制約の中、工夫を凝らした軽は多くの消費者の心をつかんでいる。今や、国内の年間自動車販売台数の約4割を占める。

軽が人気なのは、コンパクトなボディーが狭い日本の道路事情に合っているため。加えて、軽以外の「登録車」と比べた税制優遇も大きな理由である。

国内の規制に特化する形で進化した軽を、「ガラパゴス携帯=ガラケー」になぞらえ「ガラ軽」と呼ぶ向きもある。それは半分正しく、半分は間違いだ。

スズキが1983年にインド政府との合弁会社で最初に生産したのは「アルト」に800ccエンジンを積んだ「マルチ800」である。その後も軽ベースの車を投入したスズキは、今やインドの乗用車市場でシェア約40%を握るまでになった。

ただ、マルチ800でもわかるように海外で販売するのは、軽そのものではない。550cc(1989年まで)や660cc(1990年以降)という軽のエンジンでは、力不足で現地ニーズを満たせないという考えから、基本800㏄や1000㏄のエンジンを積んできた。

国内での軽優遇の賛否は置くとして、グローバルに展開する日本の自動車メーカーにとって海外で売りにくい軽に開発リソースをどこまでつぎ込むのかは悩ましい。だからこそ、パキスタンでのアルトのヒットはスズキのみならず、軽を生産する日本の自動車メーカーにとって大きな意味がある……のかもしれない。

■軽の輸出先として圧倒的トップ

曖昧な表現になるのは、パキスタンが特殊な市場であるからだ。というのも、日本から輸出される中古車、その中でも軽の輸出先として圧倒的トップなのだ。

日本の中古車輸出統計で660㏄以下という区分が新設された2013年以降、2018年まで6年連続でパキスタンが輸出先の首位である。それも中古軽輸出全体の40%台から70%台をパキスタンが占めている。

実際にパキスタンの中古車販売サイトを確認すると、660㏄エンジンを搭載した軽が多くみられる。スズキ・ホンダ・ダイハツ工業などメーカーもさまざまだ。興味深いのは、中古軽の価格が年式にもよるが、パキスタンで生産された新車と比べても決して安いわけではないということ。

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