「弱腰アメリカ」笑うサウジ攻撃の本当の黒幕 ドローン10機で19カ所攻撃はほぼ不可能

東洋経済オンライン / 2019年9月18日 16時0分

ペルシャ湾のみならず、イラク上空を経由してサウジにドローンを飛ばす場合も、駐留アメリカ軍に探知される恐れがあり、イランにとってリスクが大きい。CNNの報道が事実とすれば、イランによる非対称戦争が新たな段階に入ったことを意味し、イランの行動が一段と先鋭化してきたと言えよう。

■トランプ大統領の弱腰見透かす

非対称戦争において、犯行主体や攻撃の詳細が判明することは少ない。安倍晋三首相がイラン訪問中の6月に起きた日本のタンカーに対する攻撃も、犯行主体は今もって特定されていない。

言えるのは、世界最強の軍隊を中東地域に展開するアメリカに対して、イランはすでに非対称戦争で迎え撃っているという事実である。一連のタンカー攻撃にイランが関与したかどうかは別にして、攻撃により、イランが警告するようなホルムズ海峡の封鎖が現実的な脅威となった。

また、サウジの石油施設への攻撃は、アメリカのミサイル防衛網の導入など数兆円の軍事費を1年間で費やすサウジの軍事装備をもってしても、1機1万〜2万ドルとされる安価なドローン攻撃を防げず、世界経済を左右する原油相場を人質に取ることが容易であることが浮き彫りになった。

アメリカの軍事専門家は、「アメリカもレーザーなどを使った無人機迎撃システムをようやく発表している段階にあり、ドローン攻撃から石油施設を守る技術は存在しない」と話す。中東の石油業界関係者は、「サウジ石油施設への攻撃で無人機の脅威の大きさが示された形であり、原油相場はリスクとして織り込んでいくだろう。原油相場が高止まりしかねない」と指摘する。

イランとしては、影で暗躍することでアメリカやサウジとの直接対決は避けながらも、アメリカをじわじわと追い詰める戦略だ。トランプ大統領は、ホルムズ海峡で7月にアメリカの無人機が撃墜された事件で、直前に対イラン攻撃を撤回した。今回も「臨戦態勢」としながらも、「戦争は望んでいない」と表明しており、イランはトランプ大統領の弱腰姿勢を見逃さないだろう。

世界最強の軍事力を誇るアメリカでも、イランとの非対称戦争に本格的に突入すれば、米兵の犠牲は避けられない。2020年11月に大統領選挙を控えたトランプ氏がイランとの軍事対決に踏み込みにくい手詰まり感を見透かし、イランは圧力を徐々に強めている。

9月の国連総会に合わせて、トランプ大統領はイランのロウハニ大統領との会談を模索する中、9月10日、対イラン強硬派のジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を解任したとツイッターで発表した。

■今後想定される「攻撃」

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