孤独死が30代の健康な人に突如起こりうる現実 離婚や激務で心身を崩せば一気に孤立する

東洋経済オンライン / 2019年9月23日 7時30分

キッチンは、まったく使われた形跡はなく、ホコリを被っていて、冷蔵庫も飲み物しか入っていなかった。

「この男性は仕事と生活習慣のバランスが崩れた日々を過ごし続けたんだと思うの。でも、身体に負荷がかかったり、調子が悪かったりしても会社を休むことはなかった。そうすると、次第に脳や心臓、身体に限界がくる。そして最終的に若くして孤独死してしまったんだと思う。

若ければ、そんな張り詰めた生活も踏ん張りがきくのかもしれない。だけどそれは10代、20代だよね。30代の半ばも過ぎたあたりからは、自分の身体と心のバランスは無理がくる。きっと最期は自分が何を優先させて生きなきゃいけないのか、わからなくなっていたんじゃないかな」

■社会的孤立リスクが高い人の特徴

孤独死者数、年間約3万人というセンセーショナルな数字を叩き出した民間のシンクタンクであるニッセイ基礎研究所は、「長寿時代の孤立予防に関する総合研究~孤立死3万人時代を迎えて~」という論文で、こういった社会的孤立者の特徴(傾向)も割り出している。

社会的孤立リスクに関する特徴をみると、性別では女性に比べて男性が多く、男性の中では未婚、離別、団塊世代の男性では死別でも孤立リスクが高い。

一方、前述した女性のケースのように、女性でも、未婚、離別は孤立リスクが高い。しかし、女性は総じて男性よりも孤立リスクが低くなっている。

そして、「夫婦の意思を重視する」志向の人(夫婦間での依存性が高く、離死別後の影響が懸念)。人づきあいは、「他人に干渉されることを好まない」、また「非対面(ネット)のつきあいを好む」志向の人(ただし、後者については団塊Jr.世代のみ)が孤立リスクが高いという結果になっている。働き方としては、「割り切り」「仕事優先」志向の人が高くなっている。

この研究結果は、孤独死現場で私が見てきた離婚や、ブラック企業など働き方によって、一気に社会から孤立し、孤独死してしまうというケースとそっくりそのまま重なる。

孤独死は、核家族化、単身世帯の増加、生涯未婚率の増加、労働環境など、複合的な要因が重なり合って起きるため、必ずしも1つの要因を特定することは困難だ。

しかし、現状として孤独死に関して国が行っているのは高齢者の調査ばかりで、最も深刻なはずの若年者が置き去りされているのは、上記の亡くなった方々と同世代の30代である私として、嘆かわしく、なんとも切ない気持ちにさせられる。

「人の命」に関わる事柄である以上、若年者の孤独死について国家予算をかけて大規模な調査と実態把握を行う必要があるのは言うまでもない。そこで初めて、有効な対策に乗り出せるのではないか。孤独死の現場と向き合っていると、もう一刻の猶予もないと感じずにはいられないのである。

菅野 久美子:フリーライター

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