大阪で鍛えた「車いすの社長」の堅実なビジネス 障害者から見るユニバーサルデザインの真髄

東洋経済オンライン / 2019年9月28日 8時30分

真山:だからこそ、大阪では「そんなんで儲かんの?」って質問されるわけですね。

垣内:かつ大阪の人は率直に言ってくれるのが強いと思います。車いすに乗っていると、全国各地、基本的に客引きには合わないですよ。でもこの間、JR、近鉄、大阪メトロの3路線が乗り入れる大阪の鶴橋駅で降りて、焼肉店に行こうと社員と移動していたときに、客引きに「空いてますよ!」って声をかけられたんです。あ、やっぱり大阪は違うな、と思っていたら、さらに続けて「1階のテーブル席空いてますよ!」と言われました。

渡邊:具体的ですね。

垣内:2階、カウンター、座敷は無理ですから、これは本当にすごいなと。大阪しかないです、こんな声かけ。

真山:障害のある人を前にすると、言ってはいけないことがあるような気がしたり、どこを見て話したらいいのかと考えてしまい、コミュニケーションが上滑りしているような気持ちになることがあります。どのような意識でコミュニケーションすればいいでしょうか。

垣内:例えば、いま、みなさまが座られているいすなんて、特にそうなんです。私は今、車いすでこのままテーブルについていますが、今日は事前の打ち合わせで、「私はいすはいらない」と言っています。例えば、飲食店の場合、だいたいいすをぱっとよけて、「こちらへどうぞ」と、言われますが、車いすに乗っていてもいすに移りたいという人は結構多くいらっしゃいます。

本来は、「車いすに乗ったまま食事をとられますか?それともいすに移って食事をとられますか?」と聞いてもらいたいのですが、なんとなく、「障害者はこうだろう、車いすユーザーはこうだろう」というような固定観念があり、よかれと思っている行動が、上滑りしていることがよくあります。結局のところ、本人に聞かなければいけないということなんですよね。

渡邊:忖度しがちですよね。「このほうがいいんじゃないか」って先回りして。

垣内:先回りはありますね。

真山:頼んでもないのに何でも先回りしてしまう人には、「それはやりすぎじゃないのかな」と思うこともあります。でも、それがありがたい事もあるので、その辺の塩梅は難しいのですが、ここまでは積極的に関わってほしいけれど、ここからはやらなくてもいいというような線引きはありますか?

垣内:かなり難しいですけど、基本的に二極化していると思います。障害者や高齢者に対して、多くの人や企業の対応は、「見て見ぬふり、声すらかけないゼロの人」か「そこまでしなくてもいいですよ」と言いたくなるくらい過剰な人のどちらか。過剰の最たるところは、「〇〇しなければいけない」「〇〇してあげなければならない」という義務感や固定観念で動いています。でも本当にそうなのかは、人それぞれ違いますから。障害者である以前に、1人の人でしかないという前提のもとで向き合うことが、まずは重要なことだと思いますね。

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