2020年大統領選で民主党候補が苦境にあるわけ 通商政策をめぐる2極化にどう対処するのか

東洋経済オンライン / 2019年10月2日 7時30分

サンダース(右)やウォーレンはトランプより強硬な保護貿易主義を掲げる(写真:REUTERS/Lucas Jackson)

戦後の歴代政権は基本的に超党派で貿易促進策を推し進めてきた。特にロナルド・レーガン政権(共和党、任期:1981~89年)以降は、政権主導で自由貿易協定締結をめざす姿勢が顕著だった。

だが、今のホワイトハウスの住人はハーバート・フーバー大統領(任期:1929~33年)以来の保護貿易派とも呼ばれるトランプ大統領だ。民主党政権でも使わなかった、冷戦時代に作られた通商法(1962年、1974年)を根拠に、現政権は強硬な保護貿易策を次々に発動している。

民主党は本来、共和党よりも保護主義的である。また、大統領選挙での勝利に不可欠なラストベルト地域などに集結する伝統的な民主党支持基盤は保護貿易派だ。民主党大統領候補にはトランプ大統領との差別化が求められる一方で、ラストベルト地域では通商政策で弱腰を見せられないというジレンマに直面している。

■トランプ大統領は筋金入りの保護貿易主義者

近年の大統領選において、ラストベルト地域の激戦州では失われた製造業の雇用回復など保護貿易政策を訴えることが効果を発揮してきた。民主党のバラク・オバマ前大統領も2008年大統領選でNAFTA(北米自由貿易協定)再交渉を公約し労働者保護を訴えた。しかし、政権発足後は基本的には歴代政権と同様に自由貿易政策を推進した。

大統領候補による自由貿易政策批判は、もちろん、現政権がそれを推進していることが前提だ。だが、民主党の保護貿易政策をハイジャックしたトランプ大統領が近年の常識を覆し、政権発足後も保護貿易政策を推進しているため、今の民主党候補は自らの通商政策のポジショニングに苦慮している。

ただ、トランプ大統領は選挙のためだけではなく、長年、公の場で保護貿易政策を訴えてきた。支持政党を5回も変え、各種政策に対する考えを変えてきたトランプ大統領だが、今日まで唯一、一貫性のあるのが通商政策なのだ。日米貿易摩擦にアメリカ社会の注目が集まった1980年代にはニューヨークタイムズ紙、ワシントンポスト紙、ボストングローブ紙など主要紙に対日貿易を問題視する新聞広告を出し、オプラ・ウィンフリーが司会を務めるトーク番組などでも対日交渉に関する批判を繰り返していた。

現在、民主党大統領候補は2つのグループに分かれているとみるのが一般的だ。

1つは、トランプ大統領が登場したことを、欠陥のあるアメリカ政治システムの症状であると捉え、システムそのものを破壊する必要性を訴える革新派。もう1つがアメリカ社会の問題の根源は、基本的にトランプ大統領自身であって、トランプ政権前のアメリカ政治に戻そうとする復元派だ。現在、民主党予備選で先頭集団にいる3人の候補を分類すると、エリザベス・ウォーレン上院議員とバーニー・サンダース上院議員は革新派、バイデン前大統領は復元派に含まれる。

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