「宇宙葬」を選択する日本人、それぞれの事情 宇宙旅行の夢を死後にかなえることができる

東洋経済オンライン / 2019年10月5日 8時20分

アメリカ・ニューメキシコ州の「スペースポート・アメリカ」にて宇宙葬が実施される直前のロケット(写真:銀河ステージ)

1997年4月。24人分の遺灰を格納した空中発射型ロケットが、スペイン領カナリア諸島の上空11kmから打ち上げられた。

この世界初の「宇宙葬」に参加した24人の中には、宇宙を舞台にしたアメリカのSFドラマ『スタートレック』シリーズの生みの親、ジーン・ロッデンベリーも含まれていた。

「宇宙葬」を始めたのは、テキサス州ヒューストンに拠点を置く民間の宇宙輸送サービス会社、セレスティス社。「宇宙葬」とは、故人の遺灰を1人につき数グラムずつ特殊なカプセルに納め、宇宙空間に打ち上げる葬法で、海や空に遺灰を撒く「散骨」の一形態だ。

まさに宮沢賢治の『よだかの星』を地でいく斬新な葬送方法「宇宙葬」だが、どんな人が選択するのだろうか。費用はどれくらいかかるのだろうか。

日本国内で「宇宙葬」を取り扱っている企業は現在5社ほどあり、その中で2013年からセレスティス社の正規代理店として最多成功実績を誇る株式会社銀河ステージに、「宇宙葬」を葬送方法として選択した人の背景や費用など、詳細を聞いた。

■「いつか夫婦で宇宙旅行へ」妻の願いをかなえた夫

福岡県のAさん(60代)の妻は、Aさんとの結婚を機に勤めていた航空会社を退職。闘病生活の末に59歳で亡くなった。

キャビンアテンダントをしていた妻は、空を飛ぶことが大好きで、闘病中、よく「いつか夫婦で宇宙旅行に行きたい」と言っていたため、Aさんは「宇宙葬」を検討。数年して銀河ステージにたどり着き、「人工衛星プラン」(税別95万円)を申し込んだ。

そして今年6月25日15時30分(現地時間午前2時30分)、フロリダ州にあるケネディ宇宙センターから打ち上げられたスペースX社の最新型ロケット「ファルコン・ヘヴィ(Falcon Heavy)」は、無事予定の高度に到達し、離陸から12分55秒後、遺灰を納めた人工衛星を宇宙に送り出した。日本からは9人が参加。Aさんは現地で打ち上げを見送ると、感無量の様子だった。

Aさんが選択した人工衛星プランは、遺灰を納めた人工衛星が宇宙空間に到達すると、最長で240年間にわたって軌道上を周回するプラン。宇宙空間とは、国際航空連盟やアメリカ航空宇宙局(NASA)が定義するカーマンライン(海抜高度100km)を超えた領域を指す。

これまで、宇宙飛行士ゴードン・クーパー、『スタートレック』の俳優ジェームス・ドゥーアンをはじめ、世界各国約320人の遺灰が人工衛星に搭載され、現在も軌道上を周回している。人工衛星は、役割を終えたら大気圏に突入し、摩擦によって燃え尽きてしまうため、宇宙のゴミになることはない。

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