東急電鉄社長「私は混雑・遅延をこう解決する」 分社化で乗客サービス改善の迅速化狙う

東洋経済オンライン / 2019年10月7日 7時20分

東急電鉄は分社化によって田園都市線の混雑緩和などサービス向上を加速させる考えだ(撮影:大澤誠)

「“不幸なこと”を極小化し、“楽しいこと”を最大化したい」――。

東急の会社分割で新たに発足した「東急電鉄」のトップに就いた渡邊功社長が、9月25日に行った報道機関向け説明会の席上で、抱負を述べた。

「不幸」とは、人身事故のような安全にかかわるものだけではなく、混雑や遅延によるストレスといった乗客の不快感も含むのだという。「東急線を利用する1日300万人のお客様に幸せになってほしい」というのが渡邊社長の願いだ。このような目標を新任社長の多くが掲げるが、達成への手段が抽象的で理想論で終わるケースも少なくない。しかし、渡邊社長は具体論に踏み込んだ。

■田園都市線の混雑をどう解消する?

東急田園都市線の利用者にとって最大の関心事は、混雑問題である。2018年度の182%という混雑率は首都圏大手私鉄路線ではワースト2位。同様に混雑路線を抱えていた小田急電鉄は、着工から約30年の年月を費やす大型プロジェクトだった複々線化が2018年3月に実現して、混雑・遅延問題を一発で解消した。しかし、東急には複々線化のような大掛かりなプロジェクトがない。

東急は、さまざまな施策の積み重ねで混雑・遅延の解消を目指す。たとえば、田園都市線の最混雑区間である池尻大橋―渋谷間を含む電車定期券の利用者は、平日朝の時間帯に渋谷行きのバスを利用できる。これによりわずかな人数だが利用者が電車からバスにシフトしているという。このほかに、オフピーク通勤や大井町線へのシフトも、混雑緩和に多少なりとも貢献し、混雑率は前年度の185%から3ポイント下がった。

さらに、現在目黒線で進めている8両化によって、「目黒線が便利になれば、日吉とあざみ野の中間に住んでいて、これまであざみ野から田園都市線で都心に向かっていた人が、日吉から東横線・目黒線で都心に向かおうと考える人が出てくるかもしれない」と、渡邊社長は話す。「他路線やバスなどさまざまな方策で田園都市線の負荷を減らしたい」。ちりも積もれば山となる。東急はこうした「ちりつも」作戦で田園都市線の混雑率を減らす構えだ。

田園都市線は全駅ホームドアがもうじき完了する。田園都市線は踏切がなく、ATO(自動列車運転装置)を導入すれば、理屈のうえでは自動運転が可能になる。これについて、渡邊社長は「大きな検討テーマ」としたうえで、「ベースとなるのは安全第一。効率性だけで判断することはしない」と話す。

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