「ええ声」の持ち主、二代目桂南天が拓く新境地 ポジティブ思考で明朗快活な上方落語
東洋経済オンライン / 2019年10月10日 17時0分
南天の話はそのまま「噺」である。木戸銭を払いたくなる。この機転で、べかこの師匠の枝雀夫人の覚えもめでたくなり、それやこれやで入門を許された。
南天の師匠の三代目桂南光、当時の桂べかこは、二代目桂枝雀の惣領弟子だ。枝雀一門はみんな「雀」の一字をもらっているが、べかこは、枝雀がまだ桂小米を名乗っている時分に入門したこともあって、ひとり「雀」を名乗っていない。
独身時代の師匠と2人で共同生活を送り、弟子というより「高弟」に近いかもしれない。やはり上方の落語家らしい「ええ声」の持ち主。関西では早くからテレビ・ラジオで活躍したが、同時に米朝一門の俊英として頭角を現した。一言で言えば、何事にも達者で、しっかりした人なのだ。
「うちの師匠は、ほんまは弟子は取りたくない人なんですよ。構われるのが嫌いで、なんじゃかんじゃ世話されるのも嫌いなんですよ。それに弟子とったら教育せないかん。
それまでもお弟子さんはいはったんですが、みんな辞めた。僕も破門になってます。そのときに“辞めます”って言わんと、なんとか謝りたおして残してもらって、ここまできてるようなもんです。
怒られる『波』というか、“あ、辞めた人はここで辞めてしもたんやな”いうのがあるんですよ。師匠は理不尽なことを言う人ではなくて、僕が白いものを黒と明らかな間違いをしたときに、大怒りをしはる。そのときに“これはもう辞めなしゃあないわ”となるわけです。
でも、そこで辞めへんかった。師匠の落語が好きですし。辞めなかったら僕は絶対にほかの人よりおもろい落語するようになる、ていう自信があったから。理不尽な理由で叱られたら辞めたかもしれませんが、そうじゃなかった。“これは痛いなー、つらいなー”というところを突かれたから、こらもう仕方がないなと」
ついた初名は「桂こごろう」。桂小五郎は維新の三傑の1人、長州藩の木戸孝允の前名である。師匠べかこの「こ」を取ったとも言えなくもないが、推理小説好きの師匠が明智小五郎からつけたのだという。もちろん初代だ。
当時、高座に上がるとマクラ(噺の導入部)で「幕末には、私と同じ桂小五郎いう偉い人がいはったそうですが、まあ、先代同様、私のほうもよろしくごひいきのほど、お願いします」とぬけぬけとやっていた。筆者は落語会でこのマクラを初めて聞いた帰り、電車の中で思い出して笑いが止まらなくなった覚えがある。
1993年に師匠の桂べかこは三代目桂南光を襲名。しかし南天は以後も長く桂こごろうを名乗っていたが、2012年に二代目桂南天となった。初代はひょうひょうとした芸風で、筆者もかろうじてテレビで見た記憶があるが、当代との系統的な関係はない。
■桂米朝の大山脈に連なる意味
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