ファーウェイが「代理戦争」する米国企業の存在 米中ハイテク利権の知られざる暗闘

東洋経済オンライン / 2019年10月17日 8時20分

アメリカの制裁により、ファーウェイはスマートフォンなどの販売が失速している(撮影:梅谷秀司)

10月10~11日に、ワシントンで閣僚級の米中貿易協議が開かれた。5月に協議が決裂して以降、双方とも追加関税をかけ合うなど両超大国の対立は激化してきた。

特に10月15日から実施予定の2500億ドル相当の中国製品に対する制裁関税(第4弾)を回避できるかどうかが焦点だったが、中国側がアメリカ農産品の買い入れなどで譲歩。関税引き上げを見送る部分的な合意に達した。

ただ、米中対立の焦点は、すでに貿易問題だけではなくハイテク覇権の行方に移っている。アメリカが最も敵視しているのは、次世代通信規格「5G」で中核的な技術や競争優位性を握る華為技術(ファーウェイ)だ。アメリカはファーウェイに対して激しい制裁を科す一方、排除を一時的に猶予するなど政策が猫の目のごとくくるくる変化してきた。

現在、ファーウェイはスマートフォンなどの販売失速に苦しみ、中国で事業を展開するアメリカ企業も大きく動揺している。アメリカはアメリカ原産品などの輸入を許可しない企業を列挙した「エンティティ・リスト」を公表し、ファーウェイとその関連会社を真っ先に加えた。これに対して、中国も「信頼できない企業リスト」の公表を用意している。

■ファーウェイ製品を差し押さえ

このリストの中には、間違いなくあるアメリカ系企業が入るだろう。それは、フレックス(Flex、旧社名「フレクストロニクス」)だ。

フレックスは1969年にアメリカで創業した世界2位のEMS(電子機器の製造受託サービス)企業だ(登記はシンガポール)。同社はファーウェイの一部のネットワークと末端製品のOEM(相手先ブランドの生産)委託を請け負っており、双方の業務提携は十数年も続いてきた。

きわめてビジネス上の関係が緊密だったはずの両社でいま、米中の代理戦争とでも呼べる暗闘が起きている。

5月16日、アメリカ商務省産業安全保障局(BIS)がファーウェイと傘下の子会社68社を「エンティティ・リスト」に加えると、フレックスはすぐにファーウェイ向けの商品を差し押さえた。世界各地にある同社のOEM工場に対して、生産停止と商品出荷の拒否を含むファーウェイ向けの業務停止を一方的に通知したのだ。

ファーウェイとフレックスは、材料を送って加工してもらうというOEM生産モデルを採用している。ファーウェイが加工に必要な設備と材料を購入し、フレックスに送って加工を委託している。それゆえ、フレックスが一方的にファーウェイとの提携を停止すると、後続の生産業務に深刻な影響を及ぼす。

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