ルポ武蔵小杉、憧れの街を襲った水害の爪痕 不便な状況続き、全面復旧はまだ先か

東洋経済オンライン / 2019年10月18日 7時5分

路面がひどく汚れているのは、土砂が排水管を逆流したためだ(写真:東洋経済オンライン編集部)

JR東京駅から横須賀線で20分弱。10月16日(水)の夕方、JR武蔵小杉駅(川崎市中原区)に降り立った。4日前に首都圏を直撃した台風19号通過前後の大雨の影響で、浸水の被害を受けた地域だ。

朝7~9時だけ開く新南口臨時改札口は、浸水の影響によるエスカレーターの故障で、現在も閉鎖されたままだった。JR東日本によると、復旧の見込みはいまだに立っていないという。

向かいにある新南口でも、エレベーター、エスカレーター、改札機や改札外に設置されていた券売機、ATMなどが故障するなど、影響が続いている。今は横浜駅と北茅ヶ崎駅から改札機を移設させているが、Suicaのチャージができないなど、不便な状況が続く。

ただでさえ朝の通勤ラッシュの混雑が激しい駅であるのに加え、2つの改札口が万全ではないことで、駅の外まで長蛇の列を作るほどの混乱を生んでいる。10月17日の朝にも7時台に断続的に入場規制を行ったという。

■10年余りで「住みたい街ランキング」の常連に

「SUUMO 住みたい街ランキング2019」では、堂々の9位。武蔵小杉は、今や首都圏を代表するタワーマンション街の1つ。この10年余りでその地位を確かなものにしてきた。

もともとは南武線沿線に連なる電機産業を中心とする工場地帯。1990年代後半から周辺工場の閉鎖が相次いだことを受け、川崎市が跡地を利用した街づくりを開始した。

現在のような勢いを決定づけるようになったのは、2008年に地上49階建てのタワーマンション「ザ・コスギタワー」が竣工したのがきっかけだ。豊洲や勝どきなどに比べても、海に面しておらず地盤沈下の不安が薄いことなども、この街が人気となった理由の1つだ。

しかし台風19号によって、武蔵小杉は思わぬ被害を受けた。駅前では排水管からの逆流で浸水が起き、JR武蔵小杉駅では改札が冠水して水没したり、駅ビルが浸水したりしたほか、一部のタワーマンションではエントランスから水が流れ込み、地下の電源系統を直撃、停電が起きたところもある。住みたい街のイメージとは一転、混乱状況に陥った。

武蔵小杉は、2016年に公開された映画『シン・ゴジラ』で、奇しくもゴジラが首都圏に上陸する舞台として描かれていた。映画では、ゴジラが多摩川をさかのぼり、丸子橋を破壊したが、先の台風でそのシーンを思い浮かべた人も少なくないはずだ。

今回の台風では、多摩川が増水し、街を走る排水管を逆流していったことで、激しい浸水が起きた。多摩川の氾濫には至らなかったが、降水量増加で排水能力がキャパオーバーとなったことが原因だった。

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