世界の建築業界の巨人、日本の鉄道を変えるか サラグラダファミリアなど実績は多数

東洋経済オンライン / 2019年10月21日 7時10分

旧セントパンクラス駅を国際駅として生まれ変わらせるために、既存建物の調査、保護、補強から必要なプラットホームの増設まで、必要条件を洗い出し、構造設計のみならず、建築設計、インテリアデザイン、輸送計画など多岐にわたる業務を担った。

■鉄道事業に7000人のエンジニア

同駅の隣には「ハリー・ポッター」シリーズでもおなじみのキングスクロス駅があるが、こちらも歴史を感じさせる西コンコースに架けられた半円アーチの巨大屋根が想像を超える美しさを生み出している。

屋根は単なる美の追求ではなく、「ターミナルの西側はさびれていたが、屋根を付けたことで人や車の流れが変わった」(小栗代表)。同社は構造設計に加え、設備・環境設計、歩行者モデリングなど総合的なコンサルティング業務を手がけている。

イギリス以外の世界各国でも駅舎、軌道、トンネルといったインフラ、そして車両、信号、電力など鉄道に関する多岐に渡る分野でエンジニアリング業務やコンサル業務を行っている。2018年に開業した香港と中国本土を結ぶ「広深港高速鉄道」から減圧されたチューブ内を高速列車が走行する「ハイパーループ」計画まで、多岐にわたるプロジェクトに参加している。鉄道事業では7000人のエンジニアが活動しているという。

同社が日本に進出したのは1989年。東京事務所を開設して、日本の建築業界での実績を積み上げていったが、小栗代表は、外国人社員と話をしているうちに、ふと気がついた。鉄道メーカーや鉄道事業者が海外進出する際、安全基準や商習慣が日本とはまったく違い、日本での知見が通用しない。この外国人社員は日本の鉄道関連メーカーに勤務した経験があり、日本の企業が海外展開で苦戦する状況を肌身で感じていたのだ。

海外ビジネスに伴う煩雑な手続きをアラップが引き受ければ、メーカーのリスクが減ると同時に利益率が改善する。「海外展開を希望する企業を支援する手伝いができるはず」。小栗代表は確信し、2018年9月に鉄道チームを立ち上げた。

それだけではない。日本企業が海外に進出するのと同様に、外国企業も日本市場への参入をもくろんでいる。日本とEUの経済連携協定(EPA)が今年2月に成立し、EU側からみた日本の鉄道市場の参入障壁が撤廃された。日本の鉄道会社の間で海外企業から調達しようという機運が高まれば、鉄道会社が入札要綱や仕様書を作成する際にアラップにサポートを依頼することもありえる。

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