新幹線優先?密室で「青函貨物廃止」案を議論中 東京―札幌間「4時間半」実現への最大の難所

東洋経済オンライン / 2019年10月28日 7時10分

青函トンネル内を疾走するE5系新幹線(記者撮影)

2030年度末の北海道新幹線・新函館北斗─札幌間の開業に合わせ、北海道と本州を結ぶ鉄道貨物輸送を船舶にシフトさせる議論がひそかに進んでいる。最悪の場合は、JR貨物が北海道から撤退する可能性もある。

東京と札幌を結ぶ空路の旅客数は年間900万人。日本で最も利用者の多い路線である。その一部が新幹線に移ればJR北海道のメリットは大きい。半世紀に及ぶ新幹線の歴史を振り返ると、新幹線の開業により、東京―名古屋間、東京―仙台間をはじめ、多くの区間で航空機から新幹線に利用者がシフトした。

■東京―札幌4時間半に向けて

北海道新幹線にも同様の可能性はある。もっとも、東京―福岡間における新幹線と航空の旅客シェアを見ると、航空機が91%に対して新幹線は9%と、航空機の圧勝。約5時間という新幹線の所要時間の長さが敬遠されているのだ。

現行の東京─新函館北斗間の所要時間は約4時間で、新函館北斗─札幌間の所要時間は1時間程度。合計で5時間近くかかる。これでは新幹線開業後も航空機の優位は揺るぎそうにない。

そこで、東京─札幌間を4時間半で結ぶための方法が検討されている。新幹線で約4時間半かかる東京─新山口間における新幹線と航空機の利用比率は約3対7。この数字を当てはめれば、東京─札幌間では約300万人の旅客が航空機から新幹線にシフトする計算となる。

北海道新幹線の利用者は年間166万人にすぎないが、もくろみどおりなら北海道新幹線の利用者は3倍に増える。新幹線の収支が劇的に改善され、2031年度の経営自立を目指すJR北海道にとって、新幹線が大きな収益柱になる。

時間短縮の方策は2つある。まず、車両性能の向上だ。JR東日本は次世代試験車両「ALFA-X」を開発し、営業最高速度の引き上げに動き出した。また、盛岡以北の区間は法令上最高時速が260kmに抑えられているが、国土交通省はそれを時速320kmに引き上げることを検討中だ。

だが、それだけでは不十分。最大の障害は、青函トンネルと前後の区間を合わせた約82kmを新幹線とJR貨物の在来線貨物列車が共用していることだ。2本のレールの間隔は新幹線が1435mm、在来線が1067mmと異なり、そのままでは共用走行できない。このため三線軌条という特殊な方法で両者の共存を実現した。三線軌条は仕組みが複雑で、保守作業に多額のコストがかかる。これもJR北海道の経営の圧迫要因となっている。

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