多世代が住む中野区の「コンパクトな街」の凄み 医療・介護との連携、多世代居住などを実現

東洋経済オンライン / 2019年11月1日 7時25分

分譲マンションから見た「江古田の杜」の様子(筆者撮影)

都市開発の世界では今、「コンパクトシティ(タウン)」が重要なキーワードの1つとなっている。これは都市の中心部に行政や商業、住まい、医療、介護などの多様な機能を集中させる再開発手法のことだ。規模はさまざまだが、メリットとして人々の暮らしの利便性を高めるとともに、行政サービスなどの効率化、それによるコスト削減などが挙げられる。

国や地方自治体がこの開発手法に注目し、すでに全国各地で事業が展開されている。

代表的なものとして、2007年に財政再建(再生)団体に指定された北海道夕張市の財政再建策にあたり、都市部の再開発手法として採り入れられている事例がある。

また、東日本大震災の発生にあたり津波や原発事故の被害を受けた自治体の中にも、この手法による街の再建が進められている事例がある。このケースでは、災害に強い安心・安全に関する街の機能向上も期待されていることの1つだ。

■東京都中野区では…

コンパクトシティによる再開発事例は、人口減少や予算不足に悩む地方自治体にとどまらず、首都圏、東京23区でもみられる。例えば、東京都中野区。若者に人気の街とのイメージが強い一方、都会の自治体としての課題を抱えている。

中野区は若い単身転入者が多い一方、子育て世代の転出にも長年頭を悩ませてきた。彼らの転出が多いと、将来的に人口が定着せず、そのことが地域の衰退につながりかねないとの危機感を抱いている。

高齢化の波にももまれており、65歳以上の高齢人口が増加。構成比は2005年の18.6%から2014年には21.3%に上昇した。つまり、中野区の行政課題の1つに、子育て世代と高齢者の住環境を改善する必要があるという課題があったわけだ。

そこで、このような課題を解消するべくコンパクトシティが開発された事例として、中野区の江古田3丁目地区に2018年8月に完成した「江古田の杜(もり)」がある。都市再生機構(UR)、総合東京病院、積水ハウスからなる「江古田三丁目地区まちづくり協議会」が中心となり開発が進められたものだ。

現地は国家公務員宿舎の廃止に伴い、跡地(約4.4ha)をURが2008年に取得。前出の中野区の課題や区北部に小児初期救急診療、病児・病後児保育などが不足しているなどの地域特性を踏まえ、集合住宅、医療、保育施設などからなる複合開発が行われた。

具体的には区内最大級の分譲マンション(531戸)、総合東京病院の新棟、病院関係者向け集合住宅(56戸)、子育て世帯向け賃貸マンション(263戸)、学生向け賃貸マンション(85戸)、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住、121戸)、介護付き有料老人ホーム(94室)からなる。

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