格安スマホ、「通話も格安」の時代が来るか 日本通信が卸料金値下げ求め大臣裁定を申請

東洋経済オンライン / 2019年11月21日 7時0分

総務大臣はNTTドコモに対してどんな裁定を下すか(写真:尾形文繁)

格安スマホ攻勢ののろしとなるのか。

格安スマホ事業を営む日本通信は11月15日、NTTドコモによる音声通話サービスの卸料金の大幅値下げを求める裁定の申請を総務大臣に対して行った。

同社を含む格安スマホ会社は、キャリア3社から有料で通信回線を借り受けて事業を行っている。この回線利用料は格安スマホ会社の大きなコストになり、データ通信料金や通話料金の水準に直結している。

■裁定が出れば通話料金を直ちに引き下げ

日本通信は希望どおり音声の卸料金が下がる裁定が出れば、通話料金を直ちに大きく引き下げる方針だ。さらに、定額かけ放題プランの投入も検討するという。大臣裁定はキャリアとほかの格安スマホ会社の取引条件にも波及するため、結果次第では格安スマホの通話料金が一気に下がる可能性が出てきた。そうなれば競争上、キャリア勢も値下げを検討せざるをえなくなりそうだ。

格安スマホ各社は、実店舗をほとんど持たないなどのコスト抑制によって、動画視聴やサイト閲覧にかかるデータ通信料金に関しては、キャリアよりも割安で提供している。これができる背景には、データ回線利用料に関するルールがある。

キャリアが格安スマホ会社から受け取るデータ回線利用料の水準は、キャリアが一方的に決めることはできない。総務省がつくった算定基準があるためで、「設備投資額などの原価に限られた利益をのせた総額をデータ通信の総量で割った金額」にする決まりになっている。

そのため、データ通信にかかるコストではキャリアと格安スマホには大差がない。さらに、このコストは年々下がっているため、キャリアも格安スマホも継続的にある程度の値下げを進めてきている。

一方、通話の回線利用料には明確なルールがないため、キャリアは格安スマホ会社に対して割高な言い値をのませ続けてきた。

具体的には、キャリアは通話30秒当たり14円の回線利用料を取っており、これは2011年から8年間も変わっていない。この間、キャリア各社は割安な通話の定額かけ放題プランを導入し、格安スマホ各社との間で通話料金に大きな格差ができている。

今回、大臣裁定を求めた日本通信と相手企業のドコモで比較するとそれは明確だ。ドコモは税別で月額1700円の通話かけ放題プランを主力としている。一方、日本通信の場合は月額800円の基本料に30秒20円の通話料がかかる。単純計算で1カ月に22分30秒以上電話をしただけで、通話料金は日本通信のほうが高くなってしまうのだ。そのため、日本通信は電話をあまりしない限定的な層にしかアプローチできなかった。

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