「遺言書を書きたい人」が急増している背景事情 知っておくべき最低限の知識はコレだ

東洋経済オンライン / 2019年12月1日 7時25分

そこで今回の民法改正において、財産目録については、ワープロで作成しても他人が書いてもOKとなりました。さらには不動産については登記簿謄本、預貯金については通帳のコピーで代替してもOK。ただし、遺言書本文と財産目録との一体性を確保するため、全ページに自筆で署名し押印することが必要ですが、大変な省力化ですし、間違いも大幅に減ることでしょう。

遺言書本文では、「長男〇〇に別紙1の不動産と別紙2の預貯金を、長女〇〇に別紙3の預貯金を」というように書けばよいのです。遺言書本文と日付は自筆でお願いしますね。押印は実印の方がベターです。

■自筆証書遺言を法務局で預かってくれる?

ところで、遺言書を書くといっても、どこに保管しておくのかと思われる人もいるかもしれません。これまでは自筆証書遺言は自分で保管するしかありませんでした。そのため、見つけてもらえないリスク、改ざんされるリスクなどが高かったのです。

これについて、2020年7月10日から自筆証書遺言を法務局で保管してくれる制度が始まります。遺言者が自身で法務局へ遺言を持っていき、画像で保管してもらう制度です。

相続が発生した際には、法務局の遺言検索システムによって、被相続人が遺言を預けていたかどうかを相続人が簡単に検索することが可能となります。自筆証書遺言のデメリットの1つ、見つけてもらえない、破棄、改ざんされる、などのおそれが軽減することとなりそうですね。

また、自宅で保管していた自筆証書遺言の場合、いざ相続が開始した後、家庭裁判所で検認という手続きに2カ月ほど要しますが、遺言を法務局に預けた自筆証書遺言の場合は、検認を受けずに済むこととなり、スムーズな相続が可能となります。

ちなみに、法務局で預かってくれるというと公式なお墨付きをもらった気がしてしまいますが、法務局では自筆証書遺言として法的な要件を満たしているかどうか、署名や押印漏れなどがないか、あくまで預かるために必要な範囲の確認をしてくれるだけで、遺言の内容面について見てくれるわけではありません。

せっかく相続人がモメることがないように、との思いから遺言を残すのですから、専門家に内容の相談をして、目的に合った「公正証書遺言」を残すべきだということは、従来どおりです。無理やり書かされたのではないか?その時点でぼけていたのではないか?といった、遺言の有効性についても、法務局保管制度が自筆証書遺言のデメリットをカバーできるわけではない点もご理解いただきたいところです。

それでも自筆証書遺言を書く、というのであれば、少なくとも自宅に保管するのではなく法務局の保管制度を利用してくださいね。ちなみに銀行の貸金庫は相続後は開けられなくなり、遺言を取り出すのに半年かかったなんて例もありますので、貸金庫に保管するのだけはやめましょう。

井口 麻里子:税理士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士

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