「喪中見舞い」日本人が知らない意外な仕掛け人 おせちにまで拡大する「喪中ビジネス」の実態

東洋経済オンライン / 2019年12月1日 18時0分

年々高まっていく喪中見舞いのニーズ(写真:YUMIK/PIXTA)

11月中旬をすぎたあたりから、各家庭に喪中はがき(年賀欠礼状)が届くようになります。吉永光彦さん(仮名、55歳)は、ここ数年、届いた喪中はがきに対して、インターネットで「喪中見舞い」を贈るようになりました。

「一昨年までは、喪中見舞いにお線香付きの電報を送っていたんですが、昨年からお菓子にしました。お菓子のほうが宗教・宗派問わず、選択肢も多いので」

吉永さんが喪中見舞いを送るようになったのは4年前、父親が亡くなった年からです。喪中はがきを出したところ、友人から喪中見舞いという形でお線香が送られてきたことがきっかけでした。

「葬儀は近親者のみで行ったので、あえて訃報を友人には知らせていなかったんです。喪中はがきで父の死を知って、お線香を送ってくれたんですね。すごくうれしかったです。その友人のことは父もよく知っていましたから、きっとあちらの世界でも喜んでいると思います」

それまでは「あえて訃報を知らせなかった人に対して、わざわざ連絡するのはかえって迷惑なのでは」と気を遣っていましたが、故人や喪主と親しい間柄であれば、率直に弔意を伝えてもよいのでは、と思うようになった吉永さん。「気負わず受け取ってもらえるよう、喪中見舞いに高額商品は選びません。故人とのご縁に感謝する気持ちで送っています」と語ります。

■年々ニーズ高まる「喪中見舞い」

喪中見舞いのニーズが高まったのは、つい最近のことです。かつては喪中はがきが届いたら、遺族の方にどう弔意を伝えたらよいか悩む人は少なくありませんでした。

一般的には、喪中はがきが届いたら、年賀状の送付は控え、正月明け「松の内」(1月7日、もしくは15日)をすぎたあたりで「寒中見舞」として季節の挨拶状を出し、そこにお悔みの気持ちを添えるという人が多いのではないでしょうか。

しかし、年を明けるのを待たずに一刻も早くお悔みを伝えたいという人もいます。電話やメール、最近ではSNSなどで伝えることもできますが、より丁寧な形で弔意の気持ちを表現したいという人もいるでしょう。

そんな声を受けて、近年、喪中見舞いという新しい文化が誕生したわけです。

喪中見舞いのルーツを明かす前に、「喪中」について整理しておきたいと思います。似たような言葉に「忌中(きちゅう)」があり、明確に区別せず使われていますが、「喪中」と「忌中」の意味は基本的には異なります。

「忌中」とは神道でいう「ケガレ(穢れ、気枯れ、気離れ)」の期間のこと。一定期間の忌み籠り(いみごもり)の状態が終了し、忌みが明けることを忌明けと言いますが、その一定期間については、現代の神道では五十日間、仏教では四十九日間と一般的に捉えられています。昔の人はその間、出仕(仕事)を控え、殺生をせず、ひげを剃らず、神社に参拝しないで静かにすごしていたようです。

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