観光列車の座席に?「廃車新幹線」意外な使い道 コンコースの柱や天井に生まれ変わる車両も

東洋経済オンライン / 2019年12月9日 7時20分

JR九州の新しい観光列車に、廃車になった新幹線の座席を再利用する案が浮上している(写真:tetsuo1338/PIXTA)

興味深い情報が飛び込んできた。JR九州が2020年秋に運行開始する観光列車「36ぷらす3」の座席に新幹線「800系」の座席が再利用される可能性があるのだ。

「36ぷらす3」は、JR九州の観光列車デザインを一手に引き受けてきた水戸岡鋭治氏が、今回もデザインを担当する。その車体は、1990年代に特急「つばめ」として活躍した「787系」がベースとなる。外観については11月21日にデザインが公開されたが、内装については、ビュッフェが設けられること以外は未発表。JR九州広報部は、「詳細が決まり次第お知らせします」(JR九州)としかコメントしていない。

■廃車の800系座席を再利用?

しかし、気になる内装については、関係者によると客室内の座席を新造するという案のほかに、2016年4月14日の熊本地震で脱線し、廃車となった新幹線800系の座席を再利用する案が出ている。

熊本地震は熊本県益城町で震度7を観測。地震発生時、当該車両は回送列車として熊本駅から車両基地に向かう途中だった。6両すべてが脱線し、そのショックで台車が破損、車体に微妙なゆがみも生じた。製造から12年程度しか経過していなかったが、安全性を考慮して、廃車とした。

とはいえ、客室の状態には特段の問題はない。とくに800系の座席はJR他社の新幹線車両とは異なり、背面や手すりといったフレーム部分に不燃性の木材が使用されている。見た目が和風となり、デザイン性に優れるが、木材を選んだ理由はデザイン面だけではない。決め手となったのは「軽量化」だ。

九州新幹線には35パーミルの急勾配区間があり、登りきるために全車両にモーターが搭載されている。また、東海道・山陽新幹線の車両は、終着駅到着後の折り返し運転に際し、スタッフが手作業で座席の向きを変えているが、800系の座席には自動回転装置が設置されており、乗務員のスイッチ操作1つで、自動で回転できるようになっている。これらの理由から800系の車両の軸重はどんどん重くなってしまう。

【2019年12月9日12時30分追記】記事初出時、東海道・山陽新幹線の折り返し運転に際する記述に誤りがありましたので、上記のように修正しました。

そのため、ほかの部品を軽量化して車両の重さを一定内に収める必要があった。「車内でいちばんたくさんあるものは座席。一つひとつの座席の重さを少しずつ軽くすれば、全体の軽量化につながるはず」と、800系開発当時、運輸部長を務めていたJR九州の青柳俊彦社長が振り返る。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング