いきなり!ステーキの「お願い」が物議醸した訳 社長直筆文言ににじむ自画自賛と上から目線

東洋経済オンライン / 2019年12月13日 7時40分

社長や自治体の長などがトップセールスを行うときに最も重要なのは、ステイタスやプライドの高さを感じさせないこと。「腰が低く親近感を抱かせ、笑顔でユーモアを感じさせる」、もっと言えば「弱者を演じて同情を引く、道化になって笑われる」という姿勢でなければ、よほどほれ込んでいる顧客でない限り、「この人の商品を買おう」とは思ってもらえないものです。

一瀬社長は、「最高のステーキをね、お肉を用意していますので、来てくれたらうれしいなと思います」とも語っていました。企業のトップが自社商品に自信を持つのは当然であり、この点については問題ありません。

ただ、自社商品への自信と、自分自身や自分の仕事への自信を混同したまま、世間の人々に発信してしまったことで、「上から目線」と思われてしまったのでしょう。過剰な自信は「他人への責任転嫁」という印象につながりやすいだけに、企業のトップほど商品の自信は口に出しても、自分自身や自分の仕事への自信は口に出さないほうがいいのです。

■営業努力を伝えず、来店願望に終始

今回の貼り紙は異例のことだけに、当初からメディアで報じられることは想定していたはずです。同社は先月から業績の悪化や44店の閉店などを報じられていただけに、「報道のネガティブな流れを変えたい」という思いもあったでしょう。

しかし、メディア報道やネット上の声を見る限り、流れを変えるどころか、ブランドと企業のイメージダウンは否めません。現在、「その前に味や価格の改善を」「新たな商品やサービスは?」などと営業努力の不足を指摘する声が飛んでいるのも、貼り紙の内容が「頑張っているから来てほしい」という単なる願望に終始したからでしょう。

もし「営業努力をしている」のなら、それもしっかり伝えてから「お願い」すべきであり、「ほぼ全店着席できる」「定量化150g、200gからでも注文できる」だけで人々を満足させられていないのは一目瞭然。「正念場」と言いながらも、その切実さが伝わらなかったのは、営業努力の説明不足もあったのではないでしょうか。

今回の貼り紙は、社長自らが窮状を明かし、しかも、それに相反するプライドをにじませたことで、「失敗した」だけでなく「この調子だと、もっと失敗するかも」というイメージを抱かせてしまいました。一度ついた「失敗」「もっと失敗するかも」というイメージは、よほどの業績アップや大ヒット商品が生まれない限り、覆すのは難しいところがあります。

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