再エネ事業者が猛反発、「新料金制度」の是非 経産省提案で「負担増6000億円」の試算も

東洋経済オンライン / 2019年12月26日 8時0分

送配電ネットワークの維持・運用費用を誰が、どのように負担すべきか。議論が続けられている(撮影:梅谷秀司)

電力を送る送電線や配電線の維持・運用に必要な費用は、家庭や企業などの電力のユーザーが「託送料金」として負担している。託送料金はユーザーに請求される電気料金の一部を占めており、大手電力会社の小売部門や新電力会社と呼ばれる小売電気事業者がユーザーから徴収している。

経済産業省はこの制度を見直し、火力発電や太陽光など再生可能エネルギーの発電事業者にも維持・運用費用の一部を負担させる「発電側基本料金」という新制度の導入を計画している。

■再エネ発電事業者から見直しを求める声

現在検討されている案によれば、発電設備の種類を問わず、発電設備の最大出力に対して基本料金が発電事業者に課される。経産省の試算によれば、1キロワット当たり月150円程度とした場合、総額で約5300億円が新たに徴収されることになる。その分、小売部門の負担が軽減されるため、電力ユーザーの負担総額は従来と変わらない。

ところが、制度設計の作業が大詰めを迎えている最近になって、再エネ発電の事業者から「今の制度案のままでは転嫁できない多額の費用負担が発生する」と、見直しを求める声が上がっている。

太陽光発電所などに投資する上場インフラファンドの運営企業も反発している。エネルギーの脱炭素化に向けて再エネ電力の普及を推進する団体は、制度設計そのものの見直しを求める意見書を経済産業相宛てに提出している。

目下の焦点は、再エネ発電事業者の費用負担のあり方をめぐる議論だ。費用負担額の調整措置の対象範囲などを検討する審議会が12月27日に予定されており、早ければその場で対象範囲が事実上決まる可能性がある。

再エネ事業関係者による国会議員へのロビー活動も活発になっている。アメリカやヨーロッパなどの商工業団体は連名で「現在示されている制度案は、再エネ電力の固定価格買取制度(FIT)の法的趣旨に反し、再エネ発電事業者や再エネへの投資家から利益を奪い取るものだ」として、制度案の見直しを求める意見書を提出している。

在日米国商工会議所は東洋経済の取材に対し、「現在検討されている制度案は、投資家保護や法律の適正な執行の面で問題がある。FIT制度の法的安定性や予見可能性に対する投資家の信頼を著しく損なう」と回答。再エネ発電事業の法務に詳しいベーカー&マッケンジー法律事務所の江口直明弁護士は、「不利益を被る事業者から今後、日本政府が損害賠償を請求される可能性もある」と警鐘を鳴らしている。

■経産省は2023年度導入を目指す

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