日米安保60年で祖父の轍を踏む安倍首相の現在 当時の岸信介氏は米国産農産品を買っていた

東洋経済オンライン / 2020年1月20日 8時10分

2019年9月に開かれた日米首脳会談での安倍晋三首相とトランプ大統領(写真:AP/アフロ)

米中貿易戦争の「第1段階の合意」の署名式が、1月15日(現地時間)にホワイトハウスで中国高官を招いて行われた。

これをさかのぼること、ちょうど60年前の1960年1月19日(日本時間20日)にも、今日の日米同盟の礎となる重要な調印式がホワイトハウスで行われている。

日米安全保障条約の改定、すなわち日米新安保条約の調印だった。日本からは、当時の首相だった岸信介が渡米し、ホワイトハウスでアイゼンハワー大統領が見守る中で同条約に毛筆で署名している。岸信介といえば、今の安倍晋三首相のおじいさんにあたる。

その後、この条約の国会承認をめぐって、いわゆる安保闘争が巻き起こり、結果的に岸は首相の座を追われることになるが、衆議院で承認された新安保条約は、参議院での採決がなされないままに自然承認され、同年6月に発効している。

あれから今年で60年の節目にあたる。当時の岸信介も60年後に自分の孫が首相になっているとは、想像できただろうか。しかも憲政史上、歴代最長在任の首相となっている。

その安倍首相も、2019年9月に、ニューヨークでトランプ大統領と日米貿易交渉における新たな二国間協定、すなわち「日米物品貿易協定」と日本政府が交渉開始時に呼称していた貿易協定の合意確認書に署名し、2020年1月から発効した。

■条約調印の背景が60年前と酷似している

この日米二国間の条約調印の背景に仕組まれた状況が、当時と今とで、あまりに酷似している。血は争えない、という言葉はこのためにあるように、安倍首相はおじいさんとそっくりなことを繰り返しているのだ。

まず、60年前を振り返ってみると、日米新安全保障条約とは、終戦後の1951年にサンフランシスコ講和条約と同時に日米間で結ばれた旧安全保障条約を改定したものだが、ここに新たに両国間の経済協力事項が盛り込まれた。これによって、日本の「東洋の奇跡」とも称された戦後の高度経済成長がはじまる。

今日でいうところの日米同盟を背景に、日本は生産性の優れた工業を特化。安価で性能の高い工業製品をアメリカ市場に売り込む。一方で、アメリカからは安価な穀物を主体とした農業製品を輸入。こうした対米輸出入型の貿易構造を立ち上げることで経済成長が進む。

岸信介のあとを継いだ池田勇人内閣が「所得倍増計画」を打ち出し、成功したのも、こうした背景があったからだ。

だが、この調印が行われた1960年をピークに80%にまで回復した戦後日本の食料自給率は一気に低下していく。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング