日本人が「安い給料」に今も甘んじている大問題 私たちの仕事は付加価値を生み出しているか

東洋経済オンライン / 2020年1月24日 9時50分

日本の平均賃金はまったく伸びていません(写真:CORA/PIXTA)

なぜ日本人の給与は安いのか?

その答えは簡単である。やっている仕事が高い付加価値を生み出していないからだ。給料をあげたいなら、付加価値を生み出す仕事をするしかない。問題は、どうやって日本人と日本株式会社(注:ここでは終身雇用・年功序列の旧来型の日本の企業を指す)がそのように変わっていくかにある。

国税庁の民間給与実態調査によれば、日本人の平均年収は約441万円(2018年)で20年近く変わっていない。GDP(国内総生産)が世界3位にもかかわらず、OECD(経済協力開発機構)の2018年調査によれば平均賃金は加盟国のうち35カ国中19位の水準だ。

■付加価値とは何か?

思い出してみると、私が銀行を経て外資系コンサルティングファームで仕事を始めたとき、いつも問われたのが、お前はファームに対して付加価値を生んでいるのか、チームに貢献をしているのか、ということだった。

一人ひとりのコンサルタントの付加価値とは、その人の売り上げで計られる。クライアントに高い付加価値を提供するコンサルタントは、引く手あまたで稼働率が高くなる。その一方で、時間当たりフィーに比べて、いい提言ができない人、付加価値を生み出せない人は、稼働率が落ち、年間の売り上げも下がる。当然、人事考課は悪くなっていくという仕組みが機能していた。

私が現在やっている弁護士の仕事も同じだ。クライアントに対して生み出す付加価値が、会社や事務所の売り上げを決め、それが個人個人の人事評価、そして、給与に反映されるという仕組みが出来上がっているのである。

だから、コンサルタントや弁護士は、付加価値を出そうとして徹底的に頑張る。

ところが、日本株式会社は違う。多くの日本の会社では、クライアントに付加価値を生み出すという意識が希薄化している。大企業であればあるほど、一社員とクライアントとの距離は遠くなり、付加価値を生み出そうという意識が消えている。

そもそも、日本の会社は、売り上げを伸ばし、利益を拡大することを第一目的に置いていないのではないかと私は考えている。こんなことを言うと、多くの人が「ウチはそんなことはない」という。しかし、アメリカの企業の平均ROE(自己資本利益率)は20%程度、日本企業の平均ROEは8~9%という現実を、どう説明すればよいのだろうか。

日本の会社にとっていちばん大事なのは、社員の生活を定年まで保証すること。つまり、日本社会の中での会社は、江戸時代の村と同じ。そこに入った村人が死ぬまで仲良く暮らしていける生命維持装置なのである。売り上げと利益を伸ばすよりも、安定して長く続いていくことが第一目的とされる。

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