「日本は生産性が低い」最大の原因は中小企業だ 誰も言い出さない「生産性の衝撃的な本質」

東洋経済オンライン / 2020年3月27日 7時0分

大企業は会議が多く、「ハンコ文化」など無駄なことばかりで生産性が低い――データを見ると、それは完全な間違いだといいます(撮影:梅谷秀司)

オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏。

退職後も日本経済の研究を続け、日本を救う数々の提言を行ってきた彼は、新刊『日本企業の勝算』で、日本企業が抱える「問題の本質」を徹底的に分析している。

今回は日本企業の「生産性が低い」問題の根源はどこにあるのかを解説してもらった。

■「中小企業は日本の宝」という大いなる幻想

国の経済は、「人口増加」と「生産性向上」の2つの要因によって成長します。

これからの日本は人口が急減します。一方で、高齢者は減らないので、社会保障費の負担は変わらずのしかかり続けます。この負担を背負いながら、貧困に陥ることなく生活を維持していくためには、生産性の向上に集中的かつ徹底的に取り組まなくてはいけません。

本来、政府はとっくの昔に、生産性の向上を経済政策の中心に掲げるべきでした。しかし残念ながら、日本ではその必要性がまだ十分に理解されていません。

そもそも国内で行われている議論を聞いていると、「何が生産性を決めるのか」という基本中の基本ですら、日本ではまったく理解されていない印象を強く持ちます。

例えば、「中小企業は日本の宝」「サービス産業の生産性が低いのが、国全体の生産性が低い原因」「サービス業の生産性が低いのは、おもてなしに対価を求めない日本人の国民性が反映している」「大企業による搾取が日本の生産性を低下させている」「長時間の会議やハンコ文化が生産性を下げている」などなど。

国の将来を決める生産性の議論だというのに、まったく科学的な根拠のない俗説的な感情論ばかりです。

■国の生産性を決める最大の要因は「産業構造」だ

皆さんは、同じ「先進国」でもなぜ国によって生産性が違うのか、不思議に思ったことはないでしょうか。逆に、日本の生産性がイタリアやスペインとあまり変わらないことをおかしいと感じないでしょうか。

これらの疑問への答えは、次の一言に集約されます。

「生産性」は、その国の経営資源を、どのような産業構造に配分しているかを測る尺度である。

これがすべてです。これは経済学の基本でもあります。

例えば、2つの国に3000人の労働者がいると仮定します。A国では3社に1000人ずつの労働者を分配し、B国では1社に1000人、ほかの2000人を2人ずつ1000社に分配するとします。

この場合、人材の質、社会インフラの質、技術力がまったく同じだとしても、A国のほうがB国より明らかに生産性が高くなります。企業の規模が大きくなれば生産性が上がって、小さくなれば下がるという鉄則ははるか昔から言われている事実だからです。

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