コロナ治療薬「世界の救世主」探る臨床の最前線 有望候補薬は4つ、東大で感染阻止の研究も進む

東洋経済オンライン / 2020年3月29日 18時0分

人類の英知で事態を切り開けるか(写真:Table-K/PIXTA)

国内での拡大が続く新型コロナウイルス感染症に対し、待ち望まれている治療薬。安倍晋三首相は3月28日の記者会見で、「わが国では4つの薬について、すでに観察研究としての投与を開始している。そのうち新型インフルエンザ治療薬として承認を受け、副作用なども判明しているアビガンについては、これまで数十例で投与が行われている。ウイルスの増殖を防ぐ薬であり、すでに症状の改善に効果が出ているとの報告もある」と述べた。

現在、日本で有望視されている候補薬は、「アビガン」のほか「レムデシビル」「カレトラ」「オルベスコ」という計4種類の薬剤だ。社会不安を解消するためにも、1日でも早く治療薬がほしいところだが、一方で本当に効くかどうかを科学的に証明するためには、実際に人に投与した症例を集めて解析する「臨床試験」が必要となる。たとえ有効性が確認できたとしても、「特効薬」と呼べるものになるかは未知数で、過度な期待は禁物だ。

■「レムデシビル」で臨床試験を開始

政府による治療薬開発は、国立国際医療研究センター(東京)を中心に進んでいる。同センターで国際感染症センター長を務める大曲貴夫医師を責任者とする研究班が発足。3月23日、まずは「レムデシビル」で臨床試験を開始すると発表した。米国の国立衛生研究所(NIH)の主導で進めている国際的な臨床試験に日本の医療機関として参加する。

レムデシビルは、アメリカの製薬会社、ギリアド・サイエンシズがエボラ出血熱を対象に開発中で、まだ世界のどの国でも承認されていない候補薬だ。数年前にアフリカ中東部で猛威を振るったエボラ出血熱の治療として投与されたが、別の薬剤より治療効果が劣るとされ、投与中止となり開発は足踏みしていた。

そのレムデシビルが脚光を浴びたのは、米国での新型コロナウイルス感染者への投与で効果がみられたためだ。ギリアド日本法人の広報担当者は「新型コロナウイルスがSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)に似た構造ということで、試験管内で調べたところ高い反応を示した。そこでアメリカ・ワシントン州の患者1人に試験的に投与したところ治療効果が見られ、候補薬に挙がるにようになった」と経緯を説明する。

大曲氏は次のように語る。

「試験管内のデータだが、ウイルス増殖に及ぼす効果を評価した実験で、さまざまな抗ウイルス薬のなかでレムデシビルは最も効果を示した。人間に投与されたときの安全性に関しては、エボラの治療に使ったときの(安全性の)データがある。今回の感染者に対してレムデシビルを投与する妥当性はある。標準薬がなく時間も限られるなかで治験をするには、まずレムデシビルから医師主導治験をするのが筋だろう」

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