コロナ危機、日米欧「総動員」の政策で防げるか 元日銀審議委員の白井さゆり慶大教授に聞く

東洋経済オンライン / 2020年3月31日 7時35分

日本銀行も思い切った政策を打ち出したが、アメリカや欧州の中央銀行はそれ以上だった(撮影:風間仁一郎)

新型コロナショックが深刻化する中、世界各国はかつてない規模で金融・財政対策を総動員している。アメリカでは連邦準備制度理事会(FRB)が実質ゼロ金利を復活させ、無制限の量的緩和を開始。トランプ政権は2兆ドルを超える規模の経済対策を議会で可決させた。欧州でも欧州中央銀行(ECB)が量的緩和を大幅拡充し、各国政府が財政出動を積極化。日本銀行も追加緩和を行い、政府がリーマンショック時を上回る規模の対策策定を急いでいる。

こうした対策の効果や今後のリスクなどについて、元日銀政策委員会審議委員の白井さゆり・慶応義塾大学教授に聞いた。

――アメリカの2兆ドル対策や金融政策をどう評価しますか。

金融政策も財政政策も思い切ったもので、やれる対策は総動員している。ただ、職を失った人や営業できなくなった店など、本当に必要なところへどれだけ資金が供給されるかが重要で、一定の時間がかかるだろう。感染拡大で行政の現場も大変な状況にあり、必要なところへお金を行き渡らせるための行政の手続きなど、きめ細かい対応は難しい。

FRBによる「無制限の量的緩和」は、国債と住宅ローン担保証券(MBS)を上限なしで必要な量だけ買い入れるとする緊急措置だが、リーマンショック時と違うのは、これまでの長期間の金融緩和で国債金利が低水準にあることだ。買い入れによる金利の下げ余地という意味では効果は薄い。

ただ、今のアメリカでは投資家が非常に動揺しており、巨大な国債市場でさえ流動性が失われている。マーケットメーカーなど国債を売買する人たちがすごく減ってしまい、金利が跳ねやすくなっている。不安感で投資家がお金を出そうとしないためだ。その不安定な国債市場に中央銀行が介入し、いつでも流動性を供給するといえば、投資家は安心する。その安心感が大事だった。

■2兆ドル対策でも足りなくなるリスク

今回の危機は根本的にリーマンショックとは異なる。2008年のリーマンショックのときは、サブプライムローン(信用度の低い借り手向けの住宅ローン)とそれを担保にした複雑な証券化商品がバブル崩壊の震源となったが、2006年ごろから地価が下落に転じるなど時間をかけて金融バブルが崩壊していた。

だが今回の危機は、突然に起きた。対岸の火事と思っていた感染拡大が2月末ごろからイタリアを皮切りに欧米へ広がり、その速さはすさまじかった。金融危機とは違い、一気に需要が消滅した。

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