東急責任者が語る、伊豆「観光型MaaS」の儲け方 「単独では儲からない」が、ビジネスになる

東洋経済オンライン / 2020年4月2日 7時10分

12月10日に行われた伊豆半島での観光型MaaS「Izuko」フェーズ2現地取材会(筆者撮影)

3月10日、日本初の「観光型MaaS」(マース)の1年間にわたる伊豆半島での実証実験が終わった。

MaaS(Mobility as a Service)は、一般に「マイカー以外の交通手段を事業主体の別なくICT(情報通信技術)などを使って1つのサービスとして結びつけ、シームレスな交通サービスを提供する概念」と定義される。

今回の実証実験では、東急、JR東日本、ジェイアール東日本企画が中心となり、「Izuko」(イズコ)というサービスを開発。一定区間の電車・バスが乗り放題になるデジタルフリーパスの販売のほか、観光施設の割引チケットや、レンタカー・レンタサイクルの予約・決済などをスマートフォン上で一括してできるサービスを提供した。

実験はフェーズ1(2019年4月1日~6月30日)、フェーズ2(2019年12月1日~2020年3月10日)の2期に分けて実施し、伊豆急行、伊豆箱根鉄道、東海バスなど地元の交通事業者や観光施設が参加した。

■「日本にMaaSは必要なのか」

実証実験終了後、東急の交通インフラ事業部課長で、今回の実証実験の責任者である森田創氏は「実は、日本ではMaaSなど必要ないのではないかと悩んだ時期が長かった」と打ち明けた。

MaaS発祥の地であるフィンランドの首都・ヘルシンキでは、移動における自家用車の利用率が異常に高かったが、MaaS導入により自家用車利用が大幅に減ったというレポートがある。しかし、日本ではそもそも、東京など都市部での自家用車利用率は高くない。つまり、都市部における自家用車利用の削減は、日本におけるMaaS導入の目的にはなりにくい。

また、サービスのデジタル化についても「日本ほどいい意味で人の心に触れるアナログサービスが充実している国はない。少なくとも現時点においては、サービスをスマホでの処理にむりやり誘導する意味はない」と森田氏はいう。

このように気持ちが揺れていたという森田氏だが、実際に伊豆に赴いて現場を見聞してまわる中で、ある解をつかんだのだという。

それは、「伊豆も高齢化による人手不足が進んでおり、充実したアナログサービスを今後も同じ水準で提供し続けるのは難しい。そこで、ITの力を使って業務を省力・最適化し、人手不足を補いながらサービスレベルを維持するサイクルづくりを進めるなど、地域課題を解決することこそが日本のMaaSに課せられた使命ではないか」というものだった。

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