仏「TGVでコロナ患者輸送」、新幹線でも現実味 日本も九州新幹線で救急患者搬送の実例あり

東洋経済オンライン / 2020年4月6日 7時0分

4月1日、新型コロナウイルスの重症患者をパリから他地域の病院に移送するため高速列車TGVに搬入する医療チーム(写真:EPA=時事)

4月1日朝、白バイを従えた救急車が次々とパリ・オステルリッツ駅に到着した。乗っているのはパリおよび周辺から搬送された新型コロナウィルスの重症患者30数人。医療スタッフたちが患者をストレッチャーに載せ、駅で待ち構えていた2編成の高速列車TGVに運び入れた。

パリを出発した2本のTGVの向かう先は、新型コロナウイルスの感染が比較的少ないブルターニュ地方。第1陣の列車はサンブリュー駅で一部の患者を降ろした後、終着駅のブレスト駅に向かった。第2陣の列車は第1陣の数分後に出発し、レンヌ駅へ。患者たちは降車後、地元の病院に分散して搬送された。

■軍用機、ヘリに加えてTGVも

新型コロナウイルスの感染拡大により、世界各地で集中治療室(ICU)が不足する事態となっている。フランスではドイツとの国境に接する東部で感染者が最も集中しており、病院の収容能力が限界に達し、医療崩壊の危機にある。そのため、軍用機やヘリコプターを使って他地域の病院へ搬送していたが、3月26日からTGVが輸送手段に加わった。

TGVを運行するフランス国鉄(SNCF)によれば、フランス当局からTGVを使いたいという正式な申し入れがあったのは3月23日のことだ。SNCFはSAMU(フランスの緊急医療組織)と連携して、2編成のTGVを患者搬送用の「TGV médicalisé」(医療用のTGV)に仕立てた。

座席の上にストレッチャーを据え付け、1両当たり4人の患者を乗せる。医療機器や酸素ボンベも設置した。使用されるTGV車両は2階建てで、患者は1階に運び込まれ、2階はスタッフの詰め所として活用される。

東部の病院から運び出された患者をどの駅で列車に乗せ、西部のどの駅で降ろして病院に向かうかといったルート検討を行い25日に準備完了。26日には2編成のTGVがストラスブールなどの東部の駅から30数人の患者を西部のアンジェやナントなどの駅に運んだ。29日には東部の工業都市ミュルーズなどの駅から西部のボルドーなどに患者を運んだ。4月3日にも運行し、ストラスブールからボルドーへ患者を搬送している。患者搬送が終わった後、帰路につく列車の車内、そして駅やホームは2次感染を避けるため徹底的に消毒される。

SNCFは今回の患者搬送に対して大量のスタッフを動員して対応に当たった。さらに鉄道や医療関係者だけでなく、病院と駅の間は警察が警護を行うなど、全体で見るとかなり大がかりなものだ。

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