自民党が「9月入学」に踏み切れない本当の理由 柴山昌彦・元文科相に聞く秋入学導入の功罪

東洋経済オンライン / 2020年5月28日 19時0分

9月入学が導入されると、こうした春の入学式風景も見られなくなるのだろうか。写真は2017年4月の東京大学の入学式(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

新型コロナウィルスによる休校が長期化したことを受けて急浮上していた「9月(秋季)入学」の導入が、見送られる方向に動き始めた。

休校中に生じた授業の遅れを解消することなどを目的に、学校の入学や始業の時期を後ろ倒しにする9月入学。一部の都道府県知事が前向きな姿勢を示したほか、4月末には安倍晋三首相が「前広にさまざまな選択肢を検討していきたい」と発言するなど、盛り上がりを見せていた。

だが、制度導入には慎重な意見が多い。全国市長会のアンケート結果によれば、8割超が移行に慎重、あるいは反対の意見を示した。現在は自民党内の「秋季入学制度ワーキングチーム」が2021年度の導入見送りを提言すべく、最終調整を行っている。

9月入学の早期導入はなぜ難しいのか。第4次安倍内閣で文部科学相を務め、現在同ワーキングチーム座長を務める柴山昌彦衆議院議員に、9月入学の課題と展望について尋ねた(インタビューは5月8日に実施)。

■9月入学の実現は一筋縄ではいかない

――9月入学導入の目的は、休校による授業の遅れを取り戻すことにありました。

新型コロナによる休校が長引いた結果、学校の教育カリキュラムが非常にタイトになってしまった。さらに、自宅学習による学びの進度には個人や学校による差がどうしても出てしまう。私立など一部の学校は、休校中でもオンライン授業がしっかり行われており、塾に通っているお子さんも学習を進めている。一方で、十分な学習ができない状況に焦りを感じている人がいることも事実だ。

特に2021年に大学入試を控えている高校生にとっては、「入試の準備をしっかり行う時間が欲しい」と大きな関心事になっている。教育現場や学校の設置者である都道府県知事から「いっそのこと始業時期を遅らせるべきではないか」との声があがったのが議論のきっかけだ。

――柴山議員自身は、どんな立場なのでしょうか。

個人的には反対ではないが、解決すべき課題は非常に多岐にわたり、一筋縄には行かないだろう。省庁を横断して議論すべき問題であり、地方自治体や民間企業など、社会全体に理解してもらう必要がある。

自民党内では4月の終わり頃から、私を含めた文部科学相経験者を交えて率直に意見交換してきた。賛否ともに多種多様な意見が出てきたところだ。現在、党内にワーキングチームを設置してさまざまな方から意見を聞き、集中的に議論している。

これまでも東京大学が秋季入学の導入を検討した過去があり、文科省や文科相経験者の間ではメリットとデメリットがあらかた共有されている。

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