日本に今度こそ「本当に深刻な危機」が来る理由 コロナ危機で何が「デフォルト化」されたのか

東洋経済オンライン / 2020年5月30日 8時0分

緊急事態宣言も解除された。他の欧米先進国よりも、今のところ被害は少ない。だが筆者は「むしろこれから日本は恐ろしい危機を迎える」と言う。それはなぜか(写真:つのだよしお/アフロ)

この「持ち回り連載」を受け持っているわれわれ3人(山崎元氏、吉崎達彦氏、筆者)は「仲が良い」と思われているようだが、実はそうでもない。何より、経済、市場、社会に対する見方が大きく異なっている。

5月23日配信の記事「日本が『コロナ第2波』で最も脆弱になる懸念」で吉崎氏は、「日本で新型コロナの死亡者が極めて少ないのは奇跡ではなく、ただの謎として日本在住の欧米人に捉えられている」、というエピソードを紹介していた。

日本の対策は行き当たりばったりで、先進技術も使っていない。人々は自粛だけで、散歩も外出も自由といえば自由であり、杜撰である。それにもかかわらず、新型コロナウイルスの感染はさほど拡大せずに、世界最小レベルの被害で乗り切りつつある。それが謎なのだ、と。そして、逆に第2波のリスクはむしろ日本では高いかもしれないのに、人々は誤った自信を持ち対策を怠って、喉元過ぎて熱さを忘れた頃にひどいことになるかもしれない、と。

■なぜ日本の被害は「少なかった」のか

しかし、私に言わせれば、今回のものは謎でもなんでもない。真実は単純で「日本にはコロナ危機はもともとなかった」のだ。

「なかった」はさすがに言い過ぎかもしれないが、もともと相対的には深刻ではなかったのだ。アジアはおおむねすべての国で欧米よりも被害が少ない。確かに欧州経由の、変異して強力になったウイルスは猛威を振るったかもしれない。だが、アジアの中国発のウイルスはそれに比べれば、被害は総じてそれほどでもなかった。

日本で3月中旬以降、感染が急に広がったのは、3月21日の連休で気が緩んだからではない。欧州から帰ってきた旅行者などが欧州型のウイルスを広めたからだろう。そして、欧米では死者の数が恐ろしいほど増えたが、それらの多くは、高齢者施設の院内感染だった。

例えば、フランスでは約40%が施設のもので、それは施設には、マスクも消毒薬の備えも薄かった。アジアに比べればそういう習慣があるとは言いがたく、面会などをし続けたことによって被害が広がった。高齢者に死亡者が多い一つの理由は、施設の院内感染の死者数が多いからだ。

また、よく報道されているように、ニューヨークでは、どちらかと言えば、貧しい人々の地域で感染が深刻である。また、シンガポールで第2波があったのも、外国人労働者の衛生環境が悪すぎたからだ。

アメリカでは、貧困層を中心に医療アクセスが限定的であったことも重症化を促進した。重症患者があふれたことで、それで医療崩壊が加速した側面がある。欧米も、富裕層や著名人の死亡者は、高齢者などを除けばおおむね限定的だ。ボリス・ジョンソン首相などは重症化したが、彼は十分な医療アクセスがあったので、助かっている。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング