密輸コウモリも取引「ペット輸入大国」日本の闇 野生生物が街中に入ると新興感染症招く恐れも

東洋経済オンライン / 2020年6月12日 17時40分

日本には世界中からさまざまな野生生物が、時には密輸により持ち込まれている(写真:故安藤元一さん提供、TRAFFIC、花火/PIXTA、四季写彩/PIXTA)

世界中から密輸される寸前に日本の税関で押収された野生生物は、2007~2018年の間に1161匹にも及び、人獣共通感染症の宿主として注目されるコウモリも10匹が含まれていたことがわかった。

世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)の野生生物取引監視部門「TRAFFIC」が税関など水際での輸入差し止め記録を分析した報告書「CROSSING THE RED LINE: 日本のエキゾチックペット取引」を6月11日に発表した。ペット輸入大国ニッポンに向けられる世界の目は厳しい。アニメで人気が出たアライグマを北米から輸入したり、カワウソを東南アジアから連れてきてペットとしたり、といったブームに、日本の研究者も警鐘を鳴らしている。

■感染症法で原則輸入禁止のサル目やコウモリも押収

「TRAFFIC」は、絶滅の恐れのある野生生物の国際取引を規制する「ワシントン条約」に基づき、日本の税関当局が輸入を差し止めた記録を中心に、取引動向を把握した。その結果、調査期間(2007~2018年)中、計78件、1161匹のワシントン条約対象種が押収されていたことがわかった。直前の輸出国として特定できたのは13の国と地域で、主にタイ、中国本土、香港、インドネシアからの輸出が多かった。

1161匹の内訳をみてみよう。

カメやトカゲなどの爬虫類・・71%
小型サルなどの哺乳類・・19%
鳥類・・6%

哺乳類は22件、計219匹で、約85%にあたる185匹はスローロリスなど霊長目。また、10匹はコウモリ目だった(下表参照)。日本は、空港や港湾など水際で、感染症法や狂犬病予防法に基づき、検疫や届け出の規制を行っている。なかでも、霊長目の輸入は原則禁止(研究や展示目的の場合、証明書の提出など厳しい条件をつけて許可)、コウモリ目の輸入は禁止されている。

(外部配信先では表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

世界保健機関(WHO)は今年2月の記者会見で、新型コロナウイルスについて「野生のコウモリから別の動物を経て人に感染した可能性が高い」という見解を明らかにしていた。2003年にアジアを中心に感染が広がったSARS(重症急性呼吸器症候群)の場合、その後の研究で、コウモリを自然宿主とするコロナウイルスにより引き起こされたことがわかっている。アフリカを中心に現在まで断続的に集団感染が起きているエボラ出血熱は、ウマヅラコウモリなど3種のコウモリが自然宿主である可能性を示す研究論文が発表されている。

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