「無観客の競馬」がこんなにも盛り上がった要因 ネット投票だけでも売り上げは前年比1割減

東洋経済オンライン / 2020年6月13日 9時50分

レースは各馬の厳しいマークにあったデアリングタクトが馬群でもまれて、直線も外に持ち出せずに苦しい展開だったが、内に進路を切り替えると強烈な切れ味で差し切った。劇的な勝ちっぷりで無敗の2冠を達成した。春の2冠制覇は一昨年のアーモンドアイ以来15頭目。無敗のオークス制覇は2年連続6頭目。キャリア4戦目は昨年のラヴズオンリーユーに続き、オークスが春に定着した1953年以降で3頭目となる最少キャリア制覇となった。

松山弘平騎手はオークス初勝利。ルメール騎手と並ぶ最多タイの年間重賞7勝目。「必ずすごい脚を使う。直線で外に進路がなかったので内に入った。一瞬で伸びてくれて強い競馬だった」。苦しい競馬だったが松山騎手はデアリングタクトの力を信じていた。

5月31日。競馬の祭典日本ダービーも無観客だった。

すべてのホースマンが目標とする舞台に馬主や生産者の姿がない。いつもなら昼休みにウイナーズサークルで華やかな雰囲気の中で出場騎手紹介が行われる。今年はパドックでソーシャルディスタンスを取って騎手18人が並んだ。ひとりひとりが紹介を受けると神妙な表情で頭を下げた。日本騎手クラブ会長の武豊騎手は「我々ホースマンにとって頂点であるダービーというレースで、少しでも元気や勇気を与えられるように、多くの方々に感謝の気持ちを込めて騎乗したい。いいレースをお届けします」と決意を述べた。

そんな中でたったひとり、両手を上げて笑顔を見せた騎手がいた。福島県二本松市出身の田辺裕信騎手だ。大外18番のウインカーネリアンに騎乗したため最後の紹介となった。ダービーのレース後に電話であのときの心境を真っ先に聞いた。

「指示されていたわけじゃないけど、みんな真面目な顔で頭を下げていたからね。競馬のお祭りだから見ている人に楽しさを届けたかった」

普段から笑顔の絶えない田辺騎手だが、最後に彼が手を振って笑ってくれたことで、筆者は見ていて何となくホッとした。笑顔を見せた理由も想像通りだった。「来年はお客さんが入ってダービーができるといいよね」。筆者もそう思う。田辺騎手の笑顔に何か救われたような気持ちになった。

■強すぎた主役コントレイル

ビターエンダーに騎乗した津村明秀騎手は神妙に頭を下げたひとりだ。デビュー17年目でダービーは初騎乗。5月9日にトライアルのプリンシパルSを勝ってダービーの優先出走権を獲得した。しかし、翌10日の東京9Rで落馬し負傷。左前腕部の骨挫傷と診断された。2週間休養し何とかダービーに間に合わせた。

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