中国往年の人気車「夏利」在庫処分で騒動勃発 債務を支払えず現場は大混乱、EV合弁も頓挫

東洋経済オンライン / 2020年6月17日 18時0分

天津一汽夏利は新興EVメーカーの博郡汽車との合弁で生き残りを模索したが、あえなく頓挫した(写真は博郡汽車のウェブサイトより)

「夏利」(シアリー)を覚えているだろうか。かつては中国自動車業界の有名ブランドのひとつで、その名前は国有中堅メーカーの天津汽車が日本のダイハツとの技術提携で生産していた小型車に由来する。1990年代から2000年代の前半にかけて、価格が安く丈夫なベーシックカーとして高い人気を誇った(訳注:「夏利」はダイハツのコンパクトカー「シャレード」に中国語の発音が近い漢字をあてたもの)。

だが、2002年に国有大手の中国第一汽車(一汽)が天津汽車を吸収合併して以降、夏利はその輝きを失っていった。ブランドは天津汽車を母体とする「天津一汽夏利」に引き継がれたが、一汽グループ内での戦略的ポジションが定まらず、市場のトレンドに対応したモデルチェンジや技術的アップグレードができなかったためだ。

やがて夏利は時代遅れの忘れられたブランドとなり、販売が極度に低迷。一汽は赤字続きの天津一汽夏利のリストラに2018年から着手し、2019年3月頃には工場の操業を停止した。

■在庫車の値下げ処分の損失補填を約束

そんな夏利をめぐって今、思わぬ混乱が起きている。中国では2019年7月から一部の省や直轄市で排ガス規制が強化されたが、夏利の販売代理店には同年3月の時点でも新規制に対応できない在庫車が残っていた。そこで天津一汽夏利は、在庫車を値下げして売り切るよう販売代理店に要請。値下げ分の損失は同社が後から補填すると約束した。

ところが、それから1年が過ぎた現在も補填が支払われていないのだ。天津一汽夏利は2020年4月、同社の債務を「天津一汽夏利運営管理」という新会社に引き継ぐことに同意するよう販売代理店に通知。この新会社の登録資本金は100万元(約1510万円)しかなく、販売代理店の間には「本当に返済する気があるのか」という不満と不安が広がっている。

しかも、親会社の一汽はこの問題についてあやふやな姿勢を取っている。実は2019年11月、一汽は天津一汽夏利の存続を図ろうと、工場や設備などの資産(負債を含む)を現物出資する形で新興電気自動車(EV)メーカーの南京博郡新能源汽車(博郡汽車)と合弁会社を設立した。ところが博郡汽車はその後資金繰りに行き詰まり、合弁会社への出資契約を履行できない状況に陥った。一汽が合弁契約を解除する可能性もあり、混乱は長引きそうだ。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は5月30日

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