仕事がつらい人が「今この瞬間」に集中すべき訳 マインドフルネスの「科学的」な根拠

東洋経済オンライン / 2020年6月18日 9時50分

日々の仕事は、うまくいっていますか?(写真:monzenmachi/iStock)

仏教用語でパーリ語「サティ」の英訳である「マインドフルネス」。このような由来もあるため、いまだになじみのない人からは「宗教めいている」「怪しい」「非科学的」と思われる節もあるかもしれません。とくにロジカルなものを好む人は、拒否反応を示す傾向もあるでしょう。

ですが、「マインドフルネス」は、れっきとした現代的なメンタル・トレーニングです。1970年代には医療の領域に応用され、さらに近年では、脳科学の分野でも心身の健康や集中力、創造性、自己認識力の向上などの効果が認められて、トップアスリートやエグゼクティブのメンタルマネジメントにも活用されるようになっています。そして、グーグルのリーダーシップトレーニングにも応用されたことからビジネスの世界にも広く浸透していきました。

そして、2013年のダボス会議(World Economy Forum) では、優れたリーダーに必要な「自己認識力」「自己管理力」の開発法として採用されています。

■自分の言動をマネジメントする

このマインドフルネスがいったいどういうものかというと、「今にしっかりいる状態」、もう少し付け加えると、「今をあるがままに注意を向けている状態」を指します。

また、そうした心の状態を保ちながら「目の前のことに集中して取り組む力」、あるいは、「今に集中したときに立ち上がってくる気づき」とも言うことができます。

マインドフルネスと聞くと、瞑想をイメージされる方が多いのですが、瞑想は手段のひとつにすぎません。ウォーキングをしていても、ジョギングをしていても、水を飲んでいても、食事をしていても、今の心、身体、周囲の状況などに注意を向けていれば、マインドフルネスの状態と言えます。

人は普段、「あのとき、なんであんなことを言ったんだろう」「明日の会議の資料を作らなくては」など、過去や未来に注意が向きがちです。ですが、その注意を「今この瞬間」だけに向ける技術は、アテンションマネジメントとも言え、マインドフルネスの状態がもたらすスキルとも言えるでしょう。

■「なんとなく効果を感じる」ではない

近年の脳科学の発達により、fMRI(磁気共鳴機能画像法)で活動中の脳をモニターできるようになりました。これらを用いた最新の研究により、マインドフルネスが脳にもたらす影響が次々に明らかになっています。

ハーバード大学の心理学者であるサラ・ラザール准教授が2010年に行った研究によると、1日30分程度のマインドフルネス瞑想を8週間行うことで、「海馬」の灰白質の神経密度が高まっていることがわかりました。海馬は慢性的なストレスによって萎縮することが知られていますが、マインドフルネスの継続によって、この部分の厚みが増したのです。つまり、脳機能的に見てストレス耐性が上がったわけです。

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