仕事がつらい人が「今この瞬間」に集中すべき訳 マインドフルネスの「科学的」な根拠

東洋経済オンライン / 2020年6月18日 9時50分

海馬は短期記憶をつかさどる部位であることから、ビジネスの処理能力速度が上がるとも言われています。

また、同准教授の調査によれば、やはり8週間のマインドフルネスの実践で、怒りや不安といった情動をつかさどる「扁桃(へんとう)体」の反応が緩やかになることもわかっています。そのため、感情のコントロールが効きやすくなり、セルフ・マネジメント能力が高まると言われています。

さらに、2014年にカナダのブリティッシュコロンビア大学とドイツのケムニッツ工科大学の科学者チームが行った研究によると、マインドフルネス瞑想を続けることで、「前帯状皮質」が活性化することがわかりました。前帯状皮質は自己抑制能力をつかさどる部位で、集中力を向ける対象を意図的に決めたり、その場にふさわしくない反射的な行動を抑えたりします。研究によると、マインドフルネス瞑想で前帯状皮質が活性化した人は、注意散漫になる原因に気を取られにくいことがわかりました。

前帯状皮質は、過去の経験からの学習をもとに最適な意思決定を下す能力にも関わっています。すなわち、意思決定の質が上がるわけです。

ほかにも、マインドフルネスを実践することで、身体感覚、内省、自己意識に関わる脳部位に変化が起こることが、科学的な調査で認められています。

「なんとなく効果を感じる」ではなく、こうした科学的な裏付けがあるからこそ、グーグルを始めとする世界中の先端企業がマインドフルネスによる研修を導入しているのです。

■これからの時代に求められるEI(感情知性)

グーグルをはじめ、世界に名だたる企業がこぞってマインドフルネスを導入する理由が、実はもうひとつあります。

マインドフルネスを継続することで、EI(Emotional Intelligence:感情知性)が高まることがわかってきたことです。

かつて、アメリカの心理学博士であるダニエル・ゴールマン氏が書いた『EQ こころの知能指数』がベストセラーになったことを覚えているでしょうか。博士が提唱したEQ(Emotional Intelligence Quotient:心の知能指数)とは、EIを計る指数のこと。EIとは、「自分自身と他人の気持ちや感情を観察して、見分け、その情報を使って自分の思考や行動を導く能力」のことです。

今、このEIが世界で注目されています。すでに進行しつつある第4次産業革命。AIに代表されるこの時代に、人類に求められる能力がEIです。

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