河井前法相夫妻、「逮捕でガス抜き」の皮算用 野党の追及は尻すぼみ、焦点は解散と人事へ

東洋経済オンライン / 2020年6月19日 8時0分

6月17日の衆院本会議を終え、国会議事堂を出る河井克行前法相(写真:時事)

河井克行前法相と夫人の案里参院議員が6月18日、公職選挙法違反(買収)容疑で検察当局に逮捕された。

大方が予想した通りの国会閉幕直後の逮捕劇。17日に自民党を離党した河井夫妻だが、安倍晋三首相ら官邸中枢と親密だった。2019年秋の内閣改造人事での克行氏を法相に起用した責任も含めて、安倍首相には手痛い打撃となった。

■「不安材料」一掃で出直し狙う

一方、夫妻逮捕への一連の経過などから「政治的に仕組まれた、政権批判へのガス抜き」(閣僚経験者)との声も出る。17日の国会閉幕に合わせて、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」配備計画の事実上の白紙化や検察官の定年延長のための検察庁法改正案の廃案・見直しも含め、「政権の不安材料を在庫一掃することによる出直し作戦」(自民長老)ともみえるからだ。

案里氏が初当選した2019年夏の参院広島選挙区での選挙活動をめぐり、地元政界へ幅広く現金を配ったとの疑いで検察当局は18日、河井夫妻の逮捕に踏み切った。

参院選で河井陣営に異例の1億5000万円もの選挙資金をつぎ込んだ自民党本部も捜査対象となっており、安倍政権へのダメージは深刻だ。

法務行政のトップを務めたばかりの政治家の逮捕は前代未聞だ。野党も「憲政史上にもない大失態」(玉木雄一郎・国民民主党代表)として、夫妻の議員辞職勧告決議案の提出を検討するなど徹底攻撃の構えだ。

国会閉幕翌日の河井夫妻逮捕は、「すでに政治的には織り込み済み」(自民幹部)との見方も多く、安倍首相は16日、「国会議員は与党であろうと野党であろうと疑惑には説明責任を果たすべきだ」と持論を述べるにとどめた。

菅義偉官房長官も同日の記者会見で「2人とも政治家として今後も可能な限り説明を尽くしていくと思っている」と他人事のように語った。

■地元では後継者探しが本格化

捜査対象ともなりかねない自民党は、二階俊博幹事長が同日、「影響を及ぼすほどの大物議員でもなければ、そんなに大騒ぎするような立場の人の行動でもない」と言い放った。

併せて、党本部からの1億5000万円についても、「党内の基準と手続きを踏んで支給した。広報誌の配布費用に充てたと報告を受けている」と支出の正当性を主張。買収疑惑は当事者の問題で、党本部の関与はないと予防線を張った。

夫妻の逮捕について、自民党内では「河井夫妻はもう一巻の終わり。離党だけでなく、次の選挙への悪影響を避けるためにも、さっさと議員辞職させるべきだ」(若手)と突き放す声が多い。すでに、地元広島では夫妻の後継者探しも本格化しており、地元は「早く厄介払いしたい」(自民広島県連幹部)のが本音だ。

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