コロナで今度こそ日本は根本から変われるのか 戦場特派員→あさイチのヤナギーが語る

東洋経済オンライン / 2020年6月21日 17時0分

柳澤秀夫(やなぎさわ ひでお)/1953年生まれ。元NHK解説委員長。早稲田大学政治経済学部卒業後、77年NHK入局。バンコク、マニラ特派員、カイロ支局長を歴任、カンボジア内戦、湾岸戦争を取材した。「ニュースウオッチ9」初代メインキャスター、朝の情報番組「あさイチ」では“ヤナギー”の愛称でお茶の間に定着。2018年退局後は数々のテレビ番組にコメンテーターとして出演(撮影:今村拓馬)

新型コロナで刻々と変わる日常。緊急事態宣言下でのインタビューから、あえて変わらぬ著者の胸の内を抽出した。湾岸戦争時、日本人初のバグダッド生中継。隙を見て海外取材陣の機材をちゃっかり拝借、イラク当局との水面下の闘い、揚げ句ひねり出した珍作戦……。

緊迫する状況下で、なぜか笑えるエピソードの数々に、その人となりが伝わってくる。『記者失格』を書いた、ジャーナリストの柳澤秀夫氏に聞いた。

■東日本大震災後の原発事故と似ている

──長年、戦争、貧困、テロを取材してきた柳澤さんにとって、新型コロナとは何ですか。

非常にたちの悪い、ずる賢い厄介な相手。人間が傲慢になってごまかしてきた社会矛盾に対して、おまえらそれでいいのか? 俺は入り込んでずたずたにするぞ、と警告を発している存在だと思います。

当初検査体制が十分でなかったとか、曖昧な受診の目安を訂正し、誤解だったと釈明した。休業を要請する一方で補償は後手後手、国民一律10万円給付のオンライン申請も、まったく追いついていない現状を浮き彫りにしました。

似てるなと思うのが、東日本大震災後の福島第一原発の放射性物質の拡散。原子力は安全だ、素人は黙ってろと専門家は言ってきた。事故が勃発するや「想定外」という言葉でごまかす。彼らがつくり上げたのは架空の安全神話でした。ではなぜ想定外が起きたのか、説明するのが専門家のはず。ところがそうじゃなかった。今回のコロナでも、従来路線でいこうとして、さまざまな不備があらわになった。

──今度こそ変わりますか。

いやあ、どうかな。その場しのぎでいこうとしか見えないですね。

緊急事態宣言の間、メディアが使ってた言葉で僕がいちばん嫌いなのが「出口戦略」。今いる場から脱出したとしても、それは次のトンネルの入り口。むしろもっと気を引き締めて備えるべきことがおろそかになってる。それにはメディアも影響してると思います。メディアにはわれわれが抱える根本的な問題を伝え、考えうる選択肢を提示する役割があるはず。

──現場に出て愚直に事実を記録するのがジャーナリズム、と強調される中、最近は現場がデスクに指示を仰ぐという話が出てきます。

思考停止だと思いますよ。連日テレビに映るのも決まってJR品川駅とかね。みんな同じだと抜け駆けがないから安心。僕の記者時代は、自分が出し抜いてやるという思いがまだ強かった。カイロ駐在の頃、チュニジアで産油国会議があるというと皆一斉に向かった。その中で1人、レバノンに飛ぶ記者がいた。違う情報を取ることに意味があるんだと言っていました。

■自分が見ている世界はごく限れらた一部

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