欧州は難題山積なのにユーロ相場は堅調なワケ 「ドルの先高観」の消失が相場を決めていく

東洋経済オンライン / 2020年6月28日 7時45分

欧州の政治も経済も不調な中でユーロだけが堅調だ(写真:ロイター/Ralph Orlowski)

新型コロナ禍の被害が大きかった欧州では、経済・金融情勢の不安定さはもとより、政治情勢においても復興基金をめぐって着地点の見いだせない内輪揉めが続いている。ところが、為替市場ではユーロの堅調が続いているのだ。

CFTC(米商品先物取引委員会)が発表したIMM通貨先物取引状況によれば、6月16日時点で投機筋(Non Commercial)による主要 8 通貨の米ドル合成ポジションの売り持ち高は、前週(6月9日時点)の87.5億ドルから160.6億ドルへ急拡大している。

こうしたドル売りをけん引しているのは基本的にユーロ買いだ。コロナショックが本格化した3月を境として非連続的にユーロの買い持ちは積み上がっており、この潮流はECB(欧州中央銀行)の追加緩和、EU(欧州連合)の内輪揉め、ドイツにおける感染第2波懸念などが取り沙汰される中でもほとんど動揺する様子が見られない。これはいったいどう解釈すべきなのか。

■欧米金利差の動きとかみあっていなかった

コロナショック下でのユーロ堅調について考え方は複数ありうるが、筆者は主に2つの理由があると考えている。

1つは、そもそも欧米金利差、つまりアメリカとドイツの金利差に照らしてユーロは過小評価されており、現状はこれが正常な水準に戻ろうとしているだけというものである。2つ目は、1つ目に関連して、「欧米金利差の拡大はもはや期待できない」との思惑が支配的になっていることだ。

これらは言い換えれば「ドルの先高観」がコロナショックによって消滅したという解釈でよいだろう。

まず1つ目については、2019年半ば以降はアメリカとドイツの金利差が顕著に縮小、つまり、アメリカの金利が相対的に低下してくる一方、ドル高ユーロ安の傾向が続いてきた。具体的には、昨年6月に米独10年金利差は平均して2.3%ポイントあった。それが今年6月には1.1%ポイントまで縮小しており、1年で1.0%ポイント以上も縮んだ。

だが、その過程でユーロドル相場は1ユーロ=1.07付近まで下落した後、1年前の水準に近い1.13付近に戻ってきただけだった。過去1年で見れば、アメリカ金利の相対的な落ち込みが顕著になる一方で、対ドルでのユーロ相場はむしろ現水準でもまだ軟調という印象なのである。そう考えると、ここからさらにユーロが対ドルで続伸する可能性もある。

■「ユーロ圏出遅れ」から「新型コロナで総不況」へ

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