テスラの株価もマスク氏の報酬も超バブルだ 時価総額はトヨタ超、マスク氏報酬は6兆へ?

東洋経済オンライン / 2020年7月7日 8時0分

では、そのとき、自動車の世界はどうなっているか。

電気自動車オンリーになるためには、世界全体での政策、政治的な意思決定が必要である。コストはどう考えても割高だし、利便性は悪いし、実用性、汎用性においてはリスクがある。成熟国の大都市を除けば、電気自動車に、政策的補助がなければ、基本的に購入に動くインセンティブは自動車購入者にはない。したがって、世界的に、電気自動車を強制し、かつ経済的なインセンティブが与えられるだろう。

これは技術革新競争ではない。そして、政策や政治の動きというものは、遅いし、誰の目にも明らかなので、その流れに追いつけない、ということはあり得ない。したがって、政策の流れができれば、すべての自動車メーカーがその流れに乗っていくだろう。

現在、テスラが先行してきたのは、その流れが明白でなかったために、ほかの自動車メーカーが全力で電気自動車シフトをしなかったからだ。もし、すべての自動車が電気自動車になるのであれば、その流れはすべてのメーカーで加速する。そうなると、テスラが、いまのポジションを維持できる、と考えるのは難しくなる。なので、このシナリオは、テスラにとって厳しいシナリオとなる。

しかし、ビジネススクールでイノベーターのジレンマを学んだ人々は、こう反論するだろう。既存のプレーヤーは、イノベーションに気づいても、既存の顧客、技術を維持することが合理的であることから、思い切ったシフトができない。テスラは電気自動車しか持っていないので、全力でいける。これにより、イノベーターは交代し、新規参入者が勝つのだ、と。

■既存メーカーには本当に脅威なのか?

しかし、これは違う。なぜなら、政策によって流れが決まるのであるから、技術の合理性、顧客の志向とは無関係だから、既存のプレーヤーが遅れることはない。

同時に、技術的には、既存の大手自動車メーカーなら、電気自動車を作ることはできる。技術的に遅れることはない。むしろ、それが問題で、誰でも参入できる、実際、テスラが参入できたわけだから、技術的に遅れるということはない。

よく「バッテリーの技術は違う」と言われる。だが、これは誰もがわかっていることで、多くのプレーヤーが狙っている。しかも、バッテリー技術の進歩は、実現すれば、自動車だけでなく、多くの領域に波及するから、もともとバッテリーに強いメーカーの方がアドバンテージもインセンティブもある。テスラがポジションを利用して、そのようなバッテリー技術を独占しようとしても、現実的にそうはならないだろう。

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