JRvs静岡県「リニア問題」、非はどちらにあるか 「ヤード整備」巡り質問書と回答書の応酬合戦

東洋経済オンライン / 2020年7月8日 7時15分

リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事について会談する静岡県の川勝平太知事(左)とJR東海の金子慎社長=6月26日、静岡県庁[代表撮影](写真:時事)

「本質を見失ってはいけない。対立構造は終わりにしましょう」――。JR東海が進めるリニア中央新幹線の工事が静岡県だけ本格着手できていない問題で、国土交通省の水嶋智鉄道局長は6月13日、静岡市内で行われた記者会見で関係者に異例の要請を行った。

「本質」とはリニアの2027年開業と環境への影響の回避・低減を指す。国土交通省は2014年10月にリニア工事を認可したが、県はリニア工事が大井川の水量減少や南アルプスの生態系に影響を及ぼすおそれがあるとして、今も工事着手を認めていない。2027年開業は今や風前のともしびだ。

「関係者がそれぞれの立場で何ができるか建設的に考えていただきたい」と水嶋局長は話すが、期待と裏腹に、JR東海と静岡県の対立は深まるばかり。建設的な議論にはほど遠い。

■会談前から決定的だった県の「拒否」

話は少し前にさかのぼる。2027年に開業にこぎつけるためには、トンネル掘削の前段で行うヤード整備などの準備工事だけでも6月中に再開する必要があるとして、JR東海は川勝知事に面談して直接説明したいとする文書を5月20日に送付した。トンネル掘削工事については国交省が設置した有識者会議や県が設置した専門家会議において議論が進められており、その結果が出るまでは開始できないが、ヤード整備はトンネル掘削工事とは別の工事なのでぜひ認めてほしいというのがJR東海の理屈だ。

当初は、「会ってもしょうがない」としていた川勝知事だったが、5月27日も金子社長から再度の面談要請が来たことで、「大井川の水がいかに流域の人々にとって大切なものであるか」を直接伝える機会になると考え直し、面談を了解した。

6月16日、川勝知事は大井川流域10市町村首長と意見交換を行った。その席上で、県の事務局が、「JR東海が今行うべきはヤード整備等の準備ではなく、有識者会議や専門家会議において47項目の“引き続き対応を要する事項”の説明責任をきちんと果たすことである」と発言している。金子社長とのトップ会談において、川勝知事がJR東海の要望を拒否するのはこの時点で決定的だった。

それでも一縷の望みをかけて金子社長は会談に臨んだ。6月26日、川勝知事は静岡県庁の玄関で、余裕の表情で金子社長を出迎えた。そして会談のもようはインターネットで生配信された。国民が監視する中で、両トップが何を話すのか、いやがうえにも注目が高まった。

約1時間20分行われたこのトップ会談では、金子社長は、「なし崩しにトンネルを掘ることはしない」と強調したうえで、ヤード整備の必要性を何度も訴えたが、川勝知事が真正面から受け止めることはなかった。いっぽうで、川勝知事はヤード整備の着手を明確に否定することもしなかった。

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