瀧本哲史「人生に正解求める人ほど危険な理由」 「真の教え」で商売する人は全員インチキだ

東洋経済オンライン / 2020年7月13日 17時45分

「人生に正解を求める人」はなぜ危険なのか?(写真:Kazpon/PIXTA)

2019年8月に病のため夭折した京都大学客員准教授の瀧本哲史さん。彼はなぜ「わかりやすい答えを求める人たち」を危惧したのか? 2012年6月30日、東京大学・伊藤謝恩ホールで、全国から集まった10代〜20代の若者に向けて行われた“伝説の東大講義”を完全収録した新書『2020年6月30日にまたここで会おう』より一部抜粋・再構成してお届けする。

この講義のテーマは、「次世代の君たちはどう生きるか」ということで、僕が思っていることをどんどん言っていきます。

はい、つぎです。

みなさん、『アメリカン・マインドの終焉』という本、ご存じですか? この場には10代と20代しかいないので、知ってるはずがないんですよ。知ってるとしたら、その人はかなり変わった人だと思うんですね。

なぜかというとその本は、みなさんがまだ生まれてないか幼児だった1990年頃に流行った本だからです。

イェール大学とかシカゴ大学で哲学を研究していたアラン・ブルームという哲学者が書いてるんですが、どんな本かというと「最近のアメリカの大学は腐ってる! けしからん!」ということが、450ページにわたって、延々とと書いてある本です(笑)。

文学とか哲学、芸術といった昔からの伝統ある学問を隅に追いやって、世の中に迎合して新しい分野の学部ばかり設置して、あげくの果てにわけのわからない「ダンス学部」とかまでつくったりして、大学がレジャーランドみたいになってる……みたいな感じで、むずかしいプラトンの考えとかルソーの教育思想をひきながら、ひたすら批判してるんですね。

なんでこんな、分厚くて、堅くて、難解な本がアメリカでは大ベストセラーになるんだ、アメリカってやっぱりいい国なんだなと、当時思った記憶があります。

■教養はなぜ必要か?

で、その本の最初のほうに「教養はなんのために必要か」ということが書いてあるんですね。

ブルームによれば、「教養の役割とは、他の見方・考え方があり得ることを示すことである」と。

これは、けっこう超重要な定義でして、僕も同意見です。

たとえば歴史学とか美学、文学って、みなさんも大学1年の一般教養とかで学びましたよね? なんで早く専攻に進めないのか、不思議に思ったりしませんでしたか。

オレは経済学部なのに文学なんて学んで、いったいなんの役に立つんだろうって。

でも、一見いますぐ役に立ちそうにないこと、目の前のテーマとは無関係に見えることが、じつは物事を考えるときの「参照の枠組み」として、非常に重要なんですよ。

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