リニア「ルート変更」静岡知事が明かす発言の裏 JR東海社長への「あいまい対応」の理由も説明

東洋経済オンライン / 2020年7月13日 7時20分

リニア中央新幹線静岡工区をめぐり、静岡県庁で会談する川勝平太知事(左)と国土交通省の藤田耕三事務次官(記者撮影)

未着工となっているリニア中央新幹線の静岡工区をめぐり、7月10日午後、国土交通省の藤田耕三事務次官と静岡県の川勝平太知事が静岡県庁で会談した。

静岡県が着工を認めない根拠の一つである大井川の水資源問題については現在、国の有識者会議が議論中。その後、工事が周辺の生態系に与える影響についても議論される予定だ。JR東海は有識者会議や県の専門部会の結論が出るまではトンネルは掘らないと明言している。

しかし、2027年にリニアを開業させるためには一刻も早く工事に着手する必要がある。そこでJR東海は「トンネルは掘らないので、坑口の整備などトンネル工事の準備作業だけでも先に行いたい」と県に提案した。県は「坑口の整備はトンネル工事と一体」として認めていない。

2週間前の6月26日に同じ場所で行われたJR東海の金子慎社長と川勝知事のトップ会談は曖昧なまま終わり、その後、両者の間で文書による応酬が繰り広げられた。

■国交省、打開に向けJRと県に提案

7月7日、県は準備作業を認めない理由を詳細に説明した文書をJR東海に提出した。JR東海は「大変残念である」とコメントを出したが、さらなる質問は行わなかった。

代わりに主管官庁である国交省が動いた。7月9日、国交省は(1)JR東海は有識者会議における議論等、必要な議論が終わるまでトンネル掘削工事には着手しない、(2)静岡県は坑口等整備の速やかな実施を容認する、(3)JR東海は有識者会議の議論等の結果、坑口の位置、濁水処理施設等に変更が必要となった場合は、変更を行う、という提案をJR東海と静岡県に対して行ったのだ。

さらに、藤田次官が翌10日に金子社長と川勝知事に直接会って提案することも決まった。

「次官がこちらにいらっしゃるという。突然だったが、10日は県議会が終わった後は予定がなかったのでお受けしました」。会談後の記者会見で川勝知事が舞台裏を明かした。職員が事前に大井川流域10市町首長の意見を聞いて回ったという。「流域首長はみな一体で動いていますから、迷った人はいませんでした。 “あとは知事に任せる“と」。知事はこう発言し、流域市町の首長との一体感を強調した。

そして、7月10日、藤田次官はまず、朝10時に東京・霞が関の国交省で金子社長と会談した。30分後、会談を終えた金子社長は、「文書の内容について説明を受けた」とだけ報道陣に述べ、足早に去った。

その後、JR東海からコメントが発表された。提案の(1)については「すでに約束している」、(3)については、「(変更になるという状況は)回避したいところだが、仮に変更が必要になった場合には当該の変更を実施する」という国交省提案に沿った内容だ。

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