個室寝台列車は「密」を防げる最強の交通手段だ コロナ禍を機に長距離移動手段として復活を

東洋経済オンライン / 2020年7月15日 7時10分

今では唯一の定期寝台夜行列車となった「サンライズ瀬戸・出雲」(写真は「出雲」)。車内は個室中心で人気は高い(写真:tetsuo1338/PIXTA)

冬から続く新型コロナウイルスの感染拡大は、夏も衰えを見せる気配が感じられない。

政府や専門家は、新型コロナウイルスへの感染を予防するためには、密閉・密集・密接の「3密」を避けることが有効であるという。我が国では、4月7日に政府が「緊急事態宣言」を発令し、全国各地を結ぶ夜行高速バスは、「3密」になる危険性が高いこともあって運休が相次ぐようになった。緊急事態宣言が解除された現在も、一部では運行が再開されていない夜行高速バス路線もある。

一方で、現在では唯一の定期寝台夜行列車となった「サンライズ瀬戸・出雲」は緊急事態宣言期間中も運行を続けた。同列車は個室寝台が主体であり、新型コロナウイルス感染の可能性は低いと言える。コロナ禍における個室寝台列車の可能性について考えてみたい。

■「密」を避けられる個室

筆者は4月中旬、3月のダイヤ改正でデビューしたばかりの特急「サフィール踊り子」に熱海から品川まで乗車した。

15時過ぎ、熱海駅へ入線する伊豆急下田行きの「踊り子」車内を見ると、グリーン車や普通車指定席の乗客は皆無であり、自由席は各車2~3人程度の乗客しかいなかった。それゆえ全車がグリーン車指定席である「サフィール踊り子」はさらに乗客が少ないのではないかと思ったが、プレミアムグリーン車は定員20人に対して乗客3人であったものの、グリーン個室は半分程度埋まっていた。

まだデビューしたばかりの列車であるうえ、伊豆方面から東京方面への帰路に適した時間帯に運転されるため、もともと需要が見込める要素はあるものの、価格面で割高となる個室グリーン車が健闘していた。

そこで気づいたのが、個室は「3密」を避けられるということである。

鉄道車両はもともと、窓が開かなくても車内の強制換気を実施しているうえ、個室であればさらに安全度が高い。そうすると、列車内のほとんどの設備が個室となる夜行の寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」は極めて安全であり、コロナ禍でも安定した輸送手段であるといえる。

寝台夜行列車は2000年代に入ると、新幹線の延伸やLCCの台頭、高速バスの居住性の改善などに加えて車両の老朽化なども重なって廃止が進んだ。今では定期的に運転される寝台夜行列車は、「サンライズ瀬戸・出雲」だけになってしまった。

だが、残った寝台夜行列車である「サンライズ瀬戸・出雲」の乗車率は高い。その理由は、新幹線や航空機の最終便の後に出発して、翌日の始発便を利用するよりも早く目的地に到着する点のほか、ほとんどが個室寝台で防犯上も安全性が高く、快適な旅行ができる点にもある。

■夜行バスと差別化が図れる

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